校長室より

校長室より

5分後の未来を変えよう!(校長室より No.18)

いよいよ今日から2学期がスタートしました。
夏休み中、多きな事件・事故等もなく、元気いっぱいの生徒の皆さんと再会できたことをうれしく思います。

1学期の終業式では、「鉄は熱いうちに打て」の言葉とともに「鍛錬」の重要性を話しました。
きっとこの夏休みは、勉強に部活動に自分自身を「鍛錬」できた42日間になったことと思います。

第2学期始業式は、熱中症対策のためオンライン配信の形で実施しました。
主な内容は、以下のとおりです。


今日は式辞の中で、部活動のこと、2学期の期待、飛躍のためのメッセージの3つについて話す。

1つ目の部活動については、陸上部の選手が8月に愛媛県で行われた全国大会の男子400mで、自己ベストを更新する50秒94の好記録で、9~16位決定戦のトライアルレースに進み、全国14位のすばらしい成績を収めた。
これは、日頃のたゆまぬ努力の成果であり、本校の歴史に新たな輝かしい1ページを刻んでくた。
また、吹奏楽部が、夏休みに行われた栃木県吹奏楽コンクールで上位入賞を果たし、4年連続の東関東吹奏楽コンクールへの出場を決めた。
9月16日に神奈川県で行われる東関東でも、上位入賞を期待している。
また、9月14日には郡市新人陸上が、そして9月22日からは郡市新人各種大会が行われる。
3年生の頑張りに負けないよう、1・2年の活躍を大いに期待していまる。

2つ目は、2学期の期待についてである。
2学期は3つある学期の中でも最も長く、気候的にも過ごしやすい秋が中心だから、大きな成果が期待できる学期である。
また、ひがし野祭や駅伝フェスティバルなどの大きな行事があり、部活動も新人戦やコンクール、展覧会などが目白押しである。
行事や大会等に進んで真剣に取り組み、チャンスを逃さず、自分を大きく伸ばしてほしい。
3年生には、ひがし野祭を中心に、まさに東中の顔として中心となって活躍してくれることを期待している。
そして、何よりも来年に控えた受験に向けて確かな学力を身に付け、夢への扉を自分自身の手でしっかりと開けてほしい。
2年生は、3年生の後を受け継ぐ、大切な学期となる。
部活動もほぼ新チーム、新体制となり、生徒会役員選挙も12月に予定されている。
3年生の思いをもとに、東中のよき伝統を引き継ぎ、更に発展させる、そんな活躍を期待している。
1年生は、中学生としての土台を作り上げる大事な学期である。
土台が小さいと小さな建物しか建たないが、土台が大きくしっかりしていれば、どんな大きな建物も建てることができる。
先輩を見習いながら、その土台をしっかりと作ってほしい。

最後に3つ目。そのような大切な2学期を迎える皆に、1つのメッセージを送る。
それは「5分後の未来を変える」ということ。
皆は10年後の自分を想像できるか、あるいは20年後の未来はどうか。
想像はできるかもしれないが、10年後、20年後の未来を断定することは誰にもできない。
遠い未来を今この場で確実にコントロールすることは不可能である。
しかし、5分後の未来は、今すぐ自分の意志で変えることができる。
頑張ろうと努力するのも自分、もういいやと怠けるのも自分。
そして、怠けようとする自分を叱り、励ますのも自分自身である。
5分後の未来の積み重ねは、確実に10年後、20年後の未来につながっている。
「なりたい自分になる」ためには、「5分後の未来」を大切にしてほしい。
「心が変われば行動が変わる。行動が変われば習慣が変わる。習慣が変われば人格が変わる。人格が変われば運命が変わる。」
アメリカの心理学者であるウィリアム・ジェームズの言葉である。
未来に決まった運命があるとしても、心を入れ替えて「5分後の未来」を変え続ければ、その運命すらも変えることができるはず。


2学期の皆さんの頑張りを期待し、楽しみにしています。

ノーモア・ヒロシマ、ノーモア・ナガサキ(校長室より No.17)

78年前の昨日、広島に原爆が投下されました。
その3日後の8月9日には、長崎にも原爆が投下されたのです。
20万人以上の尊い命が失われ、今も多くの人たちが後遺症に苦しんでいます。

原爆を含む核兵器は、全てを一瞬で焼き尽くし、放射能による重い後遺症を引き起こす、非人道的な兵器です。
高校の修学旅行で訪れた原爆資料館の展示品の数々は、今でも忘れることはできません。

世界平和が実現し、核兵器が一刻も早く廃絶されることを祈っています。

鉄は熱いうちに打て(校長室より No.16)

本日、第1学期終業式を実施しました。
70日間の1学期を終え、明日から42日間の夏休みに入ります。
安全には最大限の注意を払いつつ、自分を大きく伸ばせる、そんな夏休みにしてほしいと思います。
校長式辞の主な内容は、以下のとおりです。


1学期を振り返ってみると、新型コロナウイルス感染症が5月8日に5類に移行したことにより、、学校にも当たり前の日常が戻ってきた。
学校生活の様々な場面で、今まで以上に皆の笑顔があふれていたことをうれしく思う。
一人一人が、毎日の授業や部活動などに一生懸命に取り組み、本当によく頑張った。
その皆の頑張りが、通知表には記されている。
担任の先生がどんな思いで書いたのか、その思いを察しながら読んでほしい。

皆にとってこの1学期はどのような学期だったか。
1年生は、入学して3か月半が経ったが、新しく始まった中学校生活はどうだったか。
2年生は、中堅学年として、また、1年生のよき先輩として、その役割を果たせたか。
3年生は、本校の顔である最高学年として、そしてまた、受験生として全力で取り組めたか。
それぞれに課題はあったと思うが、どの学年も成長の跡が見られ、心身ともにたくましくなったと思う。
特に、今年度新たに定めた3つの約束、「時を守る 場を清める 礼を正す」は、しっかりと守れたことと思う。

明日からの夏休みは、自由な時間がたくさんあり、その使い方によっては、自分を大きく伸ばすチャンスである。
そこで皆に、「鉄は熱いうちに打て」という言葉を贈る。
あの固い鉄でも、真っ赤に熱すると、たたいて曲げたり、伸ばしたりすることができる。
また、真っ赤になった鉄をたたくと、激しく火花が散る。
この火花には不純物が含まれているので、何度もたたくことで、純度を高め、質の高い鉄を作り出すことができる。
これを「鍛錬」と言う。
しっかりと練習や稽古をすることも鍛錬というが、真っ赤に焼けた鉄を鍛えることが語源なのである。
しかし、冷めてしまうと曲げたり伸ばしたりすることは難しく、何より冷めた鉄をたたいても鉄の質を高めること、つまり鍛錬はできない。

ここから転じて、「鉄は熱いうちに打て」の意味は、「人は柔軟性のある若いうちに鍛えることが大事だ。」とか、「物事は時機を逃さないで実行することが大切だ。」となる。
今日、1学期が終わり通知表をもらう皆は、まさに「熱い」状態である。
今こそ、「鉄は熱いうちに打て」、「鍛錬」のときである。
この時期を逃さず、厳しさを持って自分と向き合い、大きく飛躍してほしい。

反面、「水は低きに流れ、人は易きに流れる」や「三日坊主」ということわざがあるように、人間は弱い生き物でもある。
もし、夏休み期間中、自分の弱い心に負けそうになったら、頑張ってる友達やおうちの人に相談し、刺激をもらってほしい。
また、担任や部活動の先生に、気合いを入れ直してもらうのも良いと思う。
もう一度言うが、今が鍛錬のときである。
明日から始まる夏休み、自分自身の夢の実現に向けて、自分の可能性を信じて、「今だからこそできること」、「今しかできないこと」に全力で取り組んでほしい。
東中のスローガンは、「心意気 ~東中PRIDE~」である。
夏休み中、心意気を持ってたくさんのことに挑戦し、鍛錬によって一段とたくましくなった皆さんと、2学期の始業式で会えることを楽しみにしている。

ぼくが ここに(校長室より No.15)

ぼくが ここに  まど・みちお

ぼくが ここに いるとき
ほかの どんなものも
ぼくに かさなって
ここに いることは できない

もしも ゾウが ここに いるならば
そのゾウだけ
マメが いるならば
その一つぶの マメだけ
しか ここに いることは できない

ああ このちきゅうの うえでは
こんなに だいじに
まもられているのだ
どんなものが どんなところに
いるときにも

その「いること」こそが
なににも まして
すばらしいこと として


これは、「ぞうさん」や「やぎさんゆうびん」、「一年生になったら」などの童謡の作詞で知られる、詩人「まど・みちお」さんの詩です。
「誰もが大事に守られているたったひとりの存在であり、そこにいること自体が何よりもすばらしいことなのだ。」と、まど・みちおさんは伝えてくれているのだと思います。
世界でたった一つのかけがえのない命を、どうか大切に

おうちの人や先生にも相談できない悩みがあったら、下記に電話してください。
チャイルドラインとちぎ 0120-99-7777
栃木いのちの電話 028-643-7830
こころのダイヤル 028-673-8341
いじめ相談さわやかテレホン 028-665-9999

 

群青忌(校長室より No.14)

「滝落ちて群青世界とどろけり」
これは、水原秋櫻子(しゅうおうし)の代表的な俳句で、秋櫻子が62歳、昭和29年(1954年)に詠んだものです。

この句にある滝は、和歌山県東牟婁郡那智勝浦町の「那智滝(なちのたき)」です。
那智滝は、一段の滝としては落差日本一で、日光の「華厳の滝」などともに日本三名瀑の一つに数えられています。

「群青世界」という言葉は、秋櫻子がこの句を詠むにあたり作った言葉です。
群青とは、深い藍青色を言います。那智大滝の水や滝壺の青、熊野の山々の古杉の葉の青、そして空の青と、正に群青の世界であり、青が目に飛び込んでくる視覚の世界です。

また、「とどろけり」は、高いところから水が落ちてきて、滝壺で音がとどろいているという情景ですが、聴覚の世界であると同時に、水しぶきが掛かってくるよな触覚の世界でもあります。
全体として、五感に訴える句となっています。

「滝落ちて群青世界とどろけり」
秋櫻子は、何を思ってこの句を詠んだのでしょうか。
自然の偉大さや自然への畏敬の念、悠久の時間、熊野の山々と滝から受ける神秘性、それとも自分もあの滝のように雄々しく生きたいという思いでしょうか。

来週、7月17日は秋櫻子の命日です。俳句の世界では、7月17日をこの句にちなんで「群青忌」と呼び、夏の季語となっています。
生徒の皆さんも是非お気に入りの俳句を見付けて、愛唱句としてください。
きっと日本語の奥深さに触れることができると思います。