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大和言葉の美しさ(校長室より)

「しののめ」、「あけぼの」、「おぼろ」、「かすみ」、「みなも」、「せせらぎ」
日本にはこのような美しい言葉がたくさんあります。
これらは「大和言葉」と呼ばれ、日本語を構成する要素の一つで、漢語、外来語に対し、奈良時代以前からあった日本固有の言葉です。
「和語」とも言われます。
大和言葉は、時という荒波にもまれながら、長い間、日本に住む人々、日本にゆかりのある人々によって大切に受け継がれてきました。
インターネットやSNSの普及の影響か、最近とみに「日本語が痩せてきている」、「美しい語いが減ってきている」と感じる機会が増えました。
他にも、家族間の会話や読書量の減少、言葉に対する関心の低下など、語いが減り、表現の豊かさが失われている要因はいろいろと考えられます。
時代いとともに失われていく言葉があり、代わりに新しい言葉が生まれるのは、当然のことなのかもしれません。
しかし、美しい言葉が失われていくことは、その言葉がもつ美しい場面や雰囲気も失われていくような気がします。
古来から伝わる美しい言葉、大和言葉には、人の心をやわらかく包み込み、おだやかにさせる力があると思います。
そんな大和言葉を、私たち大人が意識して使うことで、次の世代に大切に受け継いでいきたいと思います。
以下に、大和言葉の一例を紹介します。


「切にお願いいたします」
心に強く思うことを「切に」と言います。
自分からの頼み事に相手が応えてくれるようにと、ひたすら願うときに使います。
ただ「お願いします」と頼むより、真剣さや一途な思いを伝えることができるでしょう。

「決してゆるがせにはいたしません」
物事をおろそかにすることを「ゆるがせ」と言います。
「ゆるがせにしない」と否定形で用いることで、相手との約束や取り決めをおろそかにしない、という決意の固さを表します。

「得も言われぬおいしさです」
「得も言われぬ」とは、何とも言い表せないという意味です。
「得も言われぬ美しさ」、「得も言われぬ喜び」、「得も言われぬ趣」のように、良いこと、ほめる言葉が続けて述べられます。