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遠くをはかるもの(校長室より)

本校では、昼休みに理科室で「理数教室」を開催し、定期テストや受験勉強を支援しています。
昨日は、テスト前日ということもあり、多くの生徒が理数教室に参加していました。
そのような中、特色選抜による合格内定を得たにもかかわらず、理数教室に参加し数学の難問に取り組む3年生の姿がありました。
まずは卒業後の進路が決まり、一番ほっとしている時期に、率先して理数教室に参加する様子から将来に向けての強い決意を感じました。
もちろん高校合格だけが目標ではないことは、誰しも分かっていることですが、今それを実践に移すことは難しいものです。
合格内定直後に頑張れるその3年生の将来に、大きな可能性を感じました。

真岡市にもゆかりのある二宮尊徳翁に言葉に、「遠くをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す」という言葉があります。
「将来を考える人は裕福になり、目先のことを考える人は貧しくなる。」という意味ですが、全文は以下のとおりです。


遠くをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す
それ遠くをはかる者は百年のために杉苗を植う
まして春まきて秋実る物においてをや
故に富有なり
近くをはかる者は春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取る事のみ眼につく
故に貧窮す


意味は、「将来を考える人は裕福になり、目先のことを考える人は貧しくなる。将来を考える人は、百年のために杉の苗を植える。もちろん、秋実るものを考えて春、種をまく。だから豊かになるのだ。しかし、目先のことばかり考える人は、春植えて秋に実るなど遅すぎるとして植えない。目の前の利益に迷って、何も植えようとしないで刈り取るばかりだ。だから貧しくなるのだ。」となります。

二宮尊徳翁は、江戸時代後期の農政家、思想家です。
現在の神奈川県小田原市に農家の長男として生まれ、自らの努力で逆境を切り拓くとともに、惜しみなく農民を指導し、報徳仕法により桜町領(現在の真岡市二宮地区の一部)をはじめ多くの農村を復興させました。

西中生の皆には、二宮尊徳翁の教えのとおり、「遠くをはかるもの」になってほしいと思います。
理数教室は、入試前日まで開催しています。
一人でも多くの参加を楽しみにしています。