あいさつ

■真岡市教育委員会教育長 山中 孝雄

今、社会は政治経済の国際化の進展、情報技術の飛躍的な発達、少子高齢社会の到来等々、激しく変動する社会環境の中で、市民は時代に即応した多様で高度な知識・技術の習得や、心の豊かさと生き甲斐の追求など、様々な動機から学習の機会を求めております。このような時すべての市民が自主的積極的に多彩な学習活動ができるよう、社会教育、スポーツ、文化の各施設の充実そして、「いつでも、どこでも、だれもが」自由に学習機会を選択できるようなプログラムの提供に努めます。
  また、学校教育においても、子どもたちがどんな社会情勢の下でもそれに対応できる力、即ち「生きる力」を育まねばなりません。このため、真岡市公立学校教育目標を理念とし、確かな学力を身につけさせるとともに、思いやりの心や豊かな情操を育み心身共に健康でたくましい、「知育・徳育・体育」の調和のとれた児童生徒の育成に努めます。
  特に、現在の子どもたちのコミュニケーション力の不足が指摘されています。人間は人との交わりの中で様々な体験を積むことによって成長します。各学校では日常の教育活動の中で、「学び合い、喜び合い、励まし合おう」の理念を根底にした実践を重視しています。
  真岡市教育委員会では、真岡市公立学校教育目標を具現化するために、次の5項目を基本方針として定めています。

《真岡市教育委員会の基本方針》

1.「啐啄(そったく)の機」を大切にする教育の推進
  適切なときに適切な場所で適切な指導を行う。
  児童生徒の生活環境、性格、能力、考え方、心理状態などを的確に
 とらえ、実態を踏まえつつ適切な時期に適切な指導を行う。
  「適切」を見極める目と力を養う。 

2.形を整え、形を大切にする教育の推進
  形は心を高め、心は形を整える。
  元気なあいさつと感謝のことば、服装を整え、姿勢を保つ。 

3.熱意あふれる教育の推進
  教師としての使命感や熱意、愛情が子どもや保護者の心を動かす。
  信頼関係の構築。

4.説明責任が果たせる教育の推進
  開かれた学校を目指す。学校評価結果を的確に伝える。

5.数値目標で成果を確認する教育の推進
  到達目標を明らかにし、結果を確かめる。
  学力向上を目指し、そのための学習環境の整備を行い、協力体制の
 育成に努める。
   
  本市では、児童生徒の学力向上と心の教育の充実を図るため、
 市単独の非常勤職員の配置、体験学習の施設の整備等に努力して
 います。


 ふるさと真岡を愛し、世界で活躍する真岡っ子の育成》


  真岡市では、平成29年5月に石坂新市長が誕生し、「JUMP UP もおか ~だれもが『わくわく』する街づくり~」のスローガンの下、まちづくりの基本戦略として、5つのプロジェクト、32の施策が打ち出されました。その1番目に「こどもの元気な成長プロジェクト」があり、学力の向上、ICT教育の推進、英語教育の充実、体力アップ、次世代リーダーの育成の5つの施策が挙げられています。
  教育委員会としましては、これらを受け各施策の確実な推進とともに、今後一層進展することが予想されるグローバル化や情報化を鑑み、「ふるさと真岡を愛し、世界で活躍する真岡っ子の育成」を本市教育の目指すべき姿として掲げ取り組んで参ります。
   グローバル化の時代、これからの子供たちには視野を世界に広げ、世界で活躍できる資質・能力を身に付けさせることが極めて大切になります。一方で、地方創生の時代でもあり、地域活性化のため郷土愛を育むことも欠かすことができません。昨年ノーベル文学賞を受賞したカズオ・イシグロ氏の小説には、生まれ故郷の長崎や日本への思いが綴られています。世界的に活躍している作家であっても、原点はふるさとにあって、それが旺盛な創作活動の原動力となっているといいます。
  郷土愛に満ちたグローバルな人材の育成は、今後ますます重要視され、まさにこれからの時代に求められる教育と言っても過言ではありません。本市教育におきましても、「郷土愛」と「グローバル人材育成」をキーワードとして、「ふるさと真岡を愛し、世界で活躍する真岡っ子の育成」を目指して、各学校における教育活動の一層の充実を図って参ります。

1.郷土愛を育む教育の推進
(1)地域に根ざした特色ある教育の推進
 ・地域人材や地域の豊かな資源を生かした特色ある教育活動を展開します。
 ・地域の産業や歴史文化を学ぶとともに、郷土の伝統文化を継承する活動を通して、郷土の理解と郷土への愛着を育みます。
(2)真岡の夏祭りへの中学生神輿の参加
 ・郷土愛を育む教育の核として中学生神輿を位置付け、郷土の一員としての自覚と郷土への誇りを育みます。
(3)自然教育センターにおける体験活動
 ・郷土の豊かな自然の中で様々な体験活動を通してたくましく生きる力を育みます。
(4)マイ・チャレンジ推進事業
 ・地域での勤労体験や地域の人々とのふれあいを通して、地域のよさを知るとともに働くことの意義を学びます。


2.「グローバル人材育成」の視点に立った教育の推進
(1)学力向上、確かな学力の育成
 ・全国学力・学習状況調査やとちぎっ子学習状況調査に加え、本市独自の真岡市総合学  力調査により、学力向上の検証改善サイクルを構築します。
 ・日々の授業の充実を図り、「分かる・できる・定着する」指導を徹底し、確かな学力を育成します。
 ・学力向上専門員や学力向上推進リーダーを核として校内授業研究会を活性化し、授業力の向上に努めます。
 ・学力向上推進研修会を実施し、各学校の学力向上に対する意識を高めます。
(2)ICT教育の推進
 ・よりよい授業を目指し、積極的にICTを活用します。
 ・各種情報通信ネットワークを活用し情報活用能力を育成します。
 ・情報モラルに関する指導を充実します。
(3)英語教育の充実
 ・小学校1・2年生における年間10時間の英語授業を確保し、その充実を図ります。
 ・小学校全ての英語の授業を、AETまたはJTEとのT・Tで行います。
 ・小学校に英語指導力向上専門員を派遣し、英語授業の向上を図ります。
 ・小学生対象のイングリッシュ・サマーキャンプを実施します。
 ・小学校外国語研究推進校を指定し、その成果を各学校に還元します。
 ・3年間で小学校の全ての担任を対象に、真岡市外国語研修を実施します。
(4)国際理解教育の充実
 ・中学生海外派遣、姉妹校交流を通して国際交流を推進します。
(5)科学教育センターにおける理科教育の充実
 ・センターにおける理科の授業を通して、理科への興味関心を高め、理科の学力向上を 図ります。
 ・出前授業や実験器具貸し出し等により各学校における理科学習を支援します。
(6)体力アップ
 ・新体力テストの結果を分析し、課題解決に向けた取組を充実します。
 ・体力向上プログラムを作成し各学校で実施することにより、体力向上を図ります。
(7)リーダーの育成
 ・中学生リーダーキャンプを実施し、リーダーとしての意識付けを図ります。


3.人格の形成、心の教育の推進
(1)居がいのある学級づくり
 ・一人一人が認められ大切にされる学級をつくります。
 ・学びに向かう学級集団をつくります。
 ・正義の支配する学級をつくります。
(2)道徳教育の充実
 ・各教育活動の特質に応じた道徳教育を行うことにより道徳性を養います。
 ・道徳の授業における多様な学習指導により、道徳的実践力を培います。
(3)児童・生徒指導の充実
 ・積極的な児童・生徒指導に努め、自己指導能力を高めます。
 ・いじめの防止、早期発見、適切な対応、早期解決に全校体制で取り組みます。
 ・問題行動等への適切な対応、早期解決に努めます。
 ・不登校や学校不適応児童生徒への適切な対応に努めます。
(4)特別支援教育の充実
 ・指導体制を整え、特別に支援を必要とする児童生徒への適切な対応に努めます。
 ・心理相談員(臨床心理士)による相談業務を推進します。
(5)読書活動の充実
 ・朝の読書やボランティアによる読み聞かせ等、読書活動の充実を図ります。
 ・学校司書を市内小・中学校全校に配置します。
(6)保健・安全教育の充実
 ・基本的生活習慣の確立や衛生管理、インフルエンザ対策等保健指導の徹底を図ります。
 ・交通安全指導、各種避難訓練等により安全指導の徹底を図ります。
 ・日常における危機意識を醸成し、危険回避能力を培います。
(7)人権教育の推進
 ・児童生徒の発達段階に応じた人権教育の取組を通して、人権感覚を磨き人権意識の高揚を図ります。


4.「質」を高める
  上記1.~3.の教育活動を充実させるには「質」にこだわり、質的充実を図ることが大切と考えます。本市においては、教育資源や教育環境はほぼ整っており、他と比べても遜色ありません。それらを余すところなく活用し、一層の教育効果を上げることが本市教育の充実・発展には不可欠と考えております。質的充実とはそのためであって、特に次の3つのことについて全力で取り組んでいきたいと思います。
(1)授業の質を高めます
  将来を担う子供たちに確かな学力を身に付けさせることは、学校の役目であり責任をもって行わなければなりません。そのためには授業の充実が何よりも大切であって、子供にとって分かる授業はもちろんのこと、「分かる・できる・定着する」まで責任をもって学習指導を行うことが必要です。学校ではこのようなことを踏まえ、教師一人一人の授業力の向上を目指し、定期的に授業研究会を行うなど積極的に授業研究に取り組んでおります。教育委員会としてもそれらの取組を一層支援し、教師一人一人の授業の質を高めます。
(2)教職員の質を高めます
  「あらゆる教育論は突き詰めていけば教師論に行き着く」と言われるように、教育は何といってもその直接の担い手である教師にかかっています。また、教職員の大量退職・大量採用の時代を迎え世代交代が進んでおり、ミドルリーダーの育成や若手教師の資質能力の向上が課題となっております。そのため、教育委員会としては独自の研修を立ち上げ、教職員研修の充実を図ります。また、各学校のOJTによる人材育成の取組への支援や、教職2~4年目教員への支援事業を通して、教職員の質を高めます。
(3)教育委員会事務局の質を高めます
  教育委員会事務局としても、その質を高めていかなければなりません。職員誰もが本市教育行政を司るという責任と自覚、そして高い課題意識をもって業務を遂行できるよう質を高めます。特に、学校教育課指導係は1名増員して7名体制となりました。学校教育を最前線で支援する市教委の指導主事には、高い専門性と積極果敢な機動性が要求されますので、それらを踏まえた資質能力の向上を図ります。