校長室より

校長室より

初心忘るべからず(校長室より No.33)

先週、2月2日(金)に立志式を実施しました。
式中、「立志の決意」を堂々と発表する生徒たちの姿から、14年間の確かな成長を感じるともに、今後の更なる飛躍に期待が膨らみました。
私の式辞では、世阿弥の「花鏡」から「初心忘るべからず」の言葉を送りました。
主な内容は以下のとおりです。


「花鏡」には、「しかれば、当流に、万能一徳の一句あり。初心忘るべからず。」との一節があり、さらに「この句、三箇条の口伝あり。是非の初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず。老後の初心忘るべからず。」と続き、能の芸について初心時代の未熟さを忘れないよう戒めが示されている。
転じて現代では、「物事に慣れると慢心してしまいがちだが、最初の頃の志を忘れてはいけない」という意味で使われれる。

人は、物事のはじめには、強い「希望」や「目標」を持って出発するが、だんだんと月日が経つにつれて、初めの頃の熱い気持ちを忘れ、現実の甘い生活に妥協し、安易で楽な方に流されがちになる。
最初のうちは、自分の進むべき道からそれていることに気付くものだが、軌道修正を怠っているうちに、希望や理想から遠く離れてしまい、目指すべき道すら見失ってしまうことがある。
そのようなことにならないためにも「初心忘るべからず」の言葉を肝に銘じてもらいたい。

夢や目標を持ち、それを実行に移すときには、必ず多くの困難にぶつかるが、簡単に諦めてはいけない。
夢や目標の実現は、他人から与えられるものではなく、自ら努力して勝ち取るものだからである。
もし、くじけそうになったら、「立志の決意」を一生懸命考え堂々と発表したときの今日の熱い気持ち、「初心」を思い出し、自らを奮い立たせ、東中の心意気で頑張ってほしい。


保護者の皆様方には、生徒たちが立志の決意を実現できるよう、愛情と厳しさを持って見守り導いていただけますよう、お願いいたします。
私ども教職員も生徒たちの夢の実現を全力で支援して参りますので、今後とも、御支援、御協力のほどよろしくお願いいたします。

なお、立志記念講演では、隻腕のプロゴルファー小山田雅人氏から「 ないものを嘆くより、あるものに感謝したい」との言葉とともに、あきらめずに困難に立ち向かい夢を実現する大切さをお話しいただきました。学びの多い立志式となりました。

 

夢の実現に向けて(校長室より No.32)

本日、1月24日(水)の朝、表彰と全校朝会を行いました。
全校朝会の主な内容は、以下のとおりです。


新年を迎え、生徒の皆も気持ちも新たに夢や目標を思い描いたことだろう。
新年がスタートして既に数週間が過ぎたが、果たして皆は、夢や目標の実現に向けて確かな歩みを進めることができているか。
「光陰矢のごとし」。
時の経つのは本当に早いもので、あっという間に時間は過ぎ去っていく。
漠然と日々を過ごしてはいけない。

それぞれの学年や立場に応じた夢や目標の設定は、その後の成長に重要な役割を果たす。
確かな夢や目標を持ち、それを実現するための具体策を考え、今しかできないことを着実に実行することが、何より大切である。
各界で活躍されている方々も子供のときに明確な夢や目標を持ち、それに向かって努力した。

メジャーリーグで大活躍している大谷翔平選手が、高校1年生のときに記した目標達成シート(オープンウィンドウ64)がここにある。
中心に一番成し得たい目標を書き、その周りに目標の達成に必要な8つの要素を書く。
大谷選手の場合は、高校1年生のときの成し得たい目標が「8球団からのドラフト1位指名」、そしてそれを実現するための8つの要素を「体づくり、コントロール、キレ、スピード160km、変化球、運、人間性、メンタル」とした。
8つの要素それぞれに8つの具体的な項目を書き、「8×8=64」となるためオープンウィンドウ64と言われている。

夢の実現、目標達成に向けて大切なことは、大谷選手の目標達成シートのように、今、自分がやるべきことを明確にすること、そしてそれがより具体的であること。
大谷選手は、高校時代に今やるべきことを何回も見直しており、最終的には3年間で16枚の目標達成シートを作成した。
また、野球に関することだけでなく、「運」や「人間性」を書き入れているところに彼のひととなりがうかがえ、そんな彼だからこそスポーツの垣根を越えて多くの人に愛されているのだと思う。

新年を迎え、皆さんが気持ちも新たに思い描いた様々な夢。
その夢を夢のままで終わらせないよう、そして将来その夢を通して社会に貢献できるよう、東中伝統の「心意気」を大切にしながら、今やるべき具体策を考え確かな歩みを進めてほしい。
御家族や東中の先生方も皆の夢の実現を全力で支援する。
一緒に夢を実現させよう。

(出典:『PRESIDENT』2018年7月30日号)

 

いつか必ず(校長室より No.31)

写真のように、校内のあちこちに飾られている「シャコバサボテン」がきれいな花を咲かせています。
この品種は、南米の高山を原産とするサボテンで、冬場のクリスマスの時期に開花することから、海外では「クリスマス・カクタス」とも呼ばれています。
開花には、日照時間が関係しているようです。

冬の寒い時期に咲いたシャコバサボテンの美しい花を見て、安積得也さんの「明日」という詩を思い出しました。
「はきだめに えんど豆咲き 泥地から 蓮の花が育つ
 人皆に美くしき種子(たね)あり 明日何が咲くか」

子供たちの限りない可能性に期待する作者の思いが込められた、すばらしい詩だと思います。
安積さんは、詩人としてだけではなく、官僚や栃木県知事(官選)、社会評論家など多方面で活躍された方です。
また、明治、大正、昭和、平成と4つの時代を生き抜いた方でもあります。

子供たちは様々な可能性の種子を秘めていますが、そこから咲く花は一つとして同じ形や色のものはなく、花の咲く時期も異なります。
しかし、必ず花は咲きます。

この詩を思い出して、改めて、教師の仕事は子供たちが持っている可能性を信じ、様々な支援をしながら、辛抱強く開花を待つことなのだと感じました。
生徒の皆さんも自身の中にある可能性の種子を信じ、努力してほしいと思います。
いつか必ず大輪の花が咲くはずです。

星に願いを(校長室より No.30)

冬の夜空を彩る「ふたご座流星群」が、12月15日(金)午前4時頃に極大(流星群自体の活動が最も活発になること)を迎えます。
ふたご座流星群が普段より目立って多く見えるのは、12月13日の夜から15日の夜の3夜と予想されます。
どの夜も、21時頃から見える流星の数が増え、夜明けを迎える翌朝の5時過ぎ頃まで観察できます。
空の暗い場所で観察した場合、14日21時頃には、すでに、1時間あたりの流星数が30個を超えそうです。
放射点が高い空に達する15日0時から3時頃においてはさらに多くなり、暗い空で見える流星数は、1時間あたり70個に達する可能性があると予想されます。
この予想流星数は、ここ数年のうちでは最も多く、絶好の観察条件と言えるでしょう。

流星は、ふたご座近くの「放射点」から四方八方に走り、空全体に現れます。
ふたご座の周辺だけに見られるわけではないので、観察に当たっては、街灯など人工の明かりが少なく、できるだけ空が広く見渡せる場所を選んで、空の広い範囲に注意を向けるとよいでしょう。
また、流星群の観察には、目が暗さに慣れるまで15分ほどは観察を続ける必要があります。
かぜをひかないように、暖かい格好で観察することも大切です。

ふたご座流星群は、1月のしぶんぎ座流星群、8月のペルセウス座流星群と並んで「三大流星群」と呼ばれています。
太古の昔から、人類は星にたくさんの願い事をしてきました。
今日も明日も天気は大丈夫そうです。
東中生の皆さん、この機会に流星群を観察し、願い事をしてみてはいかがでしょうか。
私も、「ふたご座流星群」の流れ星に、東中生みんなの願い事がかなうよう、お祈りするとしましょう。

人権週間に思う(校長室より No.29)

昨日、12月4日(月)から、人権週間が始まりました。
世界人権宣言が1948年12月10日に国連総会で採択されたことを記念して、日本では12月10日を最終日とする1週間を人権週間と定め、世界人権宣言の趣旨及びその重要性を広く国民に訴えかけるとともに、人権尊重思想の普及高揚に努めています。

人権とは、「すべての人々が生命と自由を確保し、それぞれの幸福を追求する権利」、「人間が人間らしく生きる権利で、生まれながらに持つ権利」のことです。
誰にとっても身近で大切なもの、日常の思いやりの心によって守られるものです。

世界人権宣言宣言が採択されてから70年以上が経過した現在も依然として多くの人権問題があり、偏見や差別に苦しんでいる人が大勢います。
様々な人権問題には、次のようなものがあります。
「同和問題。子ども、高齢者、障害者、女性、外国人、HIV感染者・ハンセン病患者及び元患者、インターネットによる人権侵害、災害に伴う人権問題、性的指向・性同一性障害(LGBT)にかかわる人権問題」等
また、今現在も、ウクライナとロシアの戦争やイスラエルとハマスの武力衝突などにより、多くの尊い命が失われています。

私たちの心の中には、自分とは違う一面を持つ人を差別する気持ちが入り込んでくることがあります。
その弱い気持ちに負けないためには、人権感覚を磨き続けなければなりません。
「自分の心に偏見の芽はないか、みんなと違うという理由だけで排除や差別をしていないか、弱い立場の人をいじめていないか」など、常に自分自身を厳しく見つめることが大切です。
これは生徒の皆さんだけでなく、我々大人も同じです。

世界大戦など20世紀までの反省の上に立ち、21世紀を全ての人の人権が尊重され、幸福が実現する時代にしたいとい願いを込めて「21世紀は『人権の世紀』である」としてきました。
我々大人はもちろん、これから21世紀を支えていく生徒の皆さんも一緒になって人権感覚を磨き、21世紀を全ての人の人権が尊重され、幸福が実現する時代にしていきましょう。