校長室より

校長室より

科学技術週間に思う(校長室より No.39)

少し前の話になりますが、令和6年4月15日(月)~21日(日)までの1週間は、「科学技術週間」でした。
科学技術週間は、科学技術について広く一般の方々に理解と関心を深めていただき、日本の科学技術の振興を図ることを目的として昭和35年2月に制定されました。
日本が真に豊かな国として発展し世界の平和と繁栄に貢献していくためには、「教育・文化立国」を実現するとともに、社会経済発展の原動力となる「知」の創造と活用に向けて「科学技術創造立国」の実現を図ることがとても重要です。
最近では、次代を担う青少年の「科学技術離れ」「理科離れ」も指摘されています。青少年の科学技術に親しむ機会を充実することも将来の日本にとって大切なことです。
そのようなこともあり、本校では今年度から「理科研究会」を始めることとしました。
「ロボコン研究会」と同じように、自分が所属している部活動に加える形での参加となります。
研究成果は、日本学生科学賞や栃木県理科研究展覧会などで発表する予定です。
多くの生徒の参加を期待しています。

なお、科学技術週間に合わせて、日本人ノーベル賞受賞者一覧を掲載します。

1949年…湯川 秀樹氏、ノーベル物理学賞、中間子の存在を予言
1965年…朝永 振一郎氏、ノーベル物理学賞、量子電気力学での業績
1968年…川端 康成氏、ノーベル文学賞、日本人の心の本質を繊細に表現
1973年…江崎 玲於奈氏、ノーベル物理学賞、半導体でのトンネル効果を発見
1974年…佐藤 栄作氏、ノーベル平和賞、非核三原則の提唱
1981年…福井 謙一氏、ノーベル化学賞、フロンティア電子理論
1987年…利根川 進氏、ノーベル生理学・医学賞、抗体多様性の遺伝的原理を解明
1994年…大江 健三郎氏、ノーベル文学賞、苦境にある現代人の姿を表現
2000年…白川 英樹氏、ノーベル化学賞、導電性高分子の発見と発展
2001年…野依 良治氏、ノーベル化学賞、キラル触媒による不斉反応の研究
2002年…小柴 昌俊氏、ノーベル物理学賞、ニュートリノの観測に成功
    田中 耕一氏、ノーベル化学賞、タンパク質のイオン化に成功
2008年…南部 陽一郎氏(米国籍)、ノーベル物理学賞、自発的対称性の破れの発見
    小林 誠氏、益川 敏英氏、ノーベル物理学賞、CP対称性の破れの起源の発見
    下村 脩氏、ノーベル化学賞、緑色蛍光タンパク質の発見と開発
2010年…鈴木 章氏、根岸 英一氏、ノーベル化学賞、クロスカップリング反応の開発
2012年…山中 伸弥氏、ノーベル生理学・医学賞、iPS細胞の作製
2014年…赤崎 勇氏、天野 浩氏、中村 修二氏(米国籍)、ノーベル物理学賞、青色発光ダイオードの発明
2015年…梶田 隆章氏、ノーベル物理学賞、ニュートリノ振動の発見
    大村 智氏、ノーベル生理学・医学賞、寄生虫による感染症の治療法発見
2016年…大隅 良典氏、ノーベル生理学・医学賞、オートファジー(自食作用)の解明
2018年…本庶 佑氏、ノーベル生理学・医学賞、免疫の働きを抑える分子の発見とがん治療への応用
2019年…吉野 彰氏、ノーベル化学賞、リチウムイオン二次電池の開発
2021年…眞鍋 淑郎氏(米国籍)、ノーベル物理学賞、気候の物理的モデリング、気候変動の定量化、地球温暖化の確実な予測

28名の受賞者のうち、生理学・医学賞を含めれば、25名が科学系の功績での受賞ということで、日本の面目躍如といったところです。
東中生から未来のノーベル賞受賞者が誕生することを楽しみにしています。

3つの約束と心意気(校長室より No.38)

先週、4月10日(水)にオンラインで全校朝会を行いました。
初めに、1学期がスタートしてまだ3日目にも関わらず、「立場が人をつくる」という言葉どおり、3年生は最上級生らしくリーダーシップを発揮して東中をけん引し、2年生は中堅学年として1年生のよき手本となり、そして1年生は先輩を見習いながら、あっという間に中学生らしくなってきた生徒たちを称えました。

その後、「3つの約束」と「スローガン」について、話をしました。
主な内容は以下のとおりです。


3つの約束とは、「時を守る 場を清める 礼を正す」のこと。
これは、明治、大正、昭和、平成までの4つの時代を生きた哲学者、教育者である、森信三先生が唱えた言葉である。この3つのどれもが人として生きていく上でとても大切なものであることから、多くの学校で行動規範として活用されている。
「時を守る」については、「遅刻をしない、期日を守る」ということ。
定刻までには準備を整え、きたるべき時に備えて心を静めて開始を待つ姿勢が大切。
本校では、2分前着席や決められた期日までに提出物を提出することが当てはまる。
時を守る先には必ず相手があり、自らが時を守ることで、相手を尊重することになる。
「場を清める」については、「整理整頓をして、しっかりと掃除を行う」ということ。
清掃を一生懸命行うと、気付く人になれる、心が磨かれる、謙虚になれる、感謝の心が芽生えるなど、様々な心の成長が見込まれる。
本校では、清掃の時間の取組やロッカー・教室の整理整頓などが当てはまる。
「礼を正す」については、「気持ちのよい挨拶や返事を行い、敬意を表すために服装や身だしなみを整える。」とういこと。
挨拶には、「心を開いて、相手に迫る」という意味があり、挨拶をすることで人間関係は良好に保たれる。
また、服装や身だしなみを整えることは、相手に対する礼節につながる。
本校でも、気持ちのよい挨拶やきちんとした身だしなみは、当たり前のこととして実践してほしい。
森信三先生の3つの約束、「時を守る 場を清める 礼を正す」は人としての基本であり、本気で守ろうと思えば、誰でも必ず守れるもの。
中学生のときに、人としての基本をしっかりと身に付けておけば、社会人になっても他人からの信頼を得ることができるはず。
昨年度に引き続き「3つの約束」をしっかりと守るようにしよう。

今年度のスローガンも、引き続き「心意気 ~東中PRIDE~」とした。
「心意気」は、東中の校歌の冒頭にもあり、先輩方から連綿と受け継がれる東中の伝統とも言える言葉。
その意味は、「物事に積極的に取り組もうとする気構え。意気込み。強い意志。」のこと。
中学時代は心身共に大きく成長する時期で、皆さん一人一人が持つ、様々な可能性が大きく花開くときでもある。
しかし、自分がどんなことが得意で、どんな可能性を持っているのかは、なかなか分からない。
そこで、「心意気」を持っていろいろなことに挑戦し、自分の可能性を開花させてほしいという思いを、スローガンに込めた。
その際、大切なのは、東中生としての誇りを持って挑戦すること。
そこで、スローガンのサブタイトルに「東中PRIDE」の言葉を加えた。

「一人が一校を代表する」の言葉どおり、「東中PRIDE」は、自分が東中の代表なんだと自覚することから始る。
そして、「東中PRIDE」は、皆で創り受け継いでいくものである。
皆の心のよりどころになる、すばらしい「東中PRIDE」を創っていこう。
「心意気 ~東中PRIDE~」のスローガンのもと、皆が自分の力で、可能性を扉を開き、次のステップに進んでいくことを期待している。


令和6年度も「3つの約束」と「心意気」で大きな飛躍の年にしていきましょう!
 

ようこそ東中へ!歓迎、96名の新入生(校長室より No.37)

昨日、4月8日(月)に、満開の桜の下、真岡東中学校入学式を実施しました。
4年ぶりに御来賓の皆様の御臨席を賜り、新入生の入学を盛大にお祝いすることができました。
校長式辞では、新入生に以下の3つのことをお願いしました。


1 当たり前のことが当たり前にできる生徒になってほしい。
朝は自分で起きられる。誰にでも大きな声で挨拶ができる。人の話をきちんと聴くことができる。自分を振り返り反省することができる。
どれも当たり前のことばかりだが、なかなかできないものである。
人として当たり前のことができるようになることが、中学校生活を豊かで楽しくする第一歩である。
このことに関して、本校には「3つの約束『時を守る 場を清める 礼を正す』」がある。
進んで守ってほしい。

2 一生懸命に勉強してほしい。
中学校での学習は、小学校とはずいぶん違い、内容が難しくなり、より考える力が求められるようになる。
また、授業も教科ごとに先生が違う教科担任制になり、さらに、小学校にはなかった中間テスト・期末テストがある。
そのため、予習や復習などの家庭学習も計画的に行うことが大切。
日々の努力を欠かさず、皆さん一人一人が三年間で確かな学力を身に付け、自らの進路を自分の力で切り拓いてほしい。

3 何かに本気で打ち込み友情を育んでほしい。
本校では、3大行事である「運動会、ひがし野祭、駅伝フェスティバル」など様々な学校行事があり、大いに盛り上がる。
また、皆が楽しみにしている部活動も盛んで、関東大会や全国大会に出場し活躍している。
学校行事や部活動で一番大切なことは、本気で取り組むことである。
仲間と一緒に本気で取り組めば、そこに確かな友情が生まれる。
共に何かを成し遂げ、そこから生まれてくる友情は、一生の宝物である。
中学校生活を通して、友情を育み、生涯の友とできる人を探してほしい。


新入生の皆さんが、真岡東中学校の伝統である「心意気」をしっかりと受け継ぎ、中学校3年間で大きく成長されることを期待しています。

東日本大震災を忘れない(校長室より No.36)

13年前の今日、3月11日、14時46分。東北地方を中心に未曽有の被害をもたらした東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)が発生しました。
元日に能登半島地震が発生したこともあり、3月11日を迎え、改めて当時の記憶がよみがえるとともに、防災に向けた取組について思いを新たにしました。
震災時、生徒たちはまだ幼く記憶もほとんどないことから、本校独自の指導資料を作成し、今後担任が東日本大震災の概要と具体的な避難行動等について指導する予定です。
指導資料の東日本大震災に関する概要は、以下のとおりです。


・東日本大震災は、東北地方太平洋沖地震により発生した災害である。
・震源は三陸沖の海底24km、地震の規模を表すマグニチュードは9.0~9.1という超巨大地震で、日本では観測史上最大、世界でも4番目ぐらいに大きな地震である。
・地震の揺れの大きさを表す震度は、宮城県で最大7を記録しており、また、本震の継続時間は約6分間と非常に長いのが特徴だった。
・巨大津波の発生により、甚大な被害が発生した。震源が地下24kmと浅く、地震の規模が非常に大きかったことが原因。津波のスピードは非常に早く、水深の深い沖の方では、時速800kmにもなる。水深が浅くなるとスピードは落ちるが、それでも時速36kmほどはあり、津波が近づいてから走って逃げても、逃げ切れない。
・東日本大震災で発生した津波は、最大で海岸から6kmの内陸にまで達し、津波の高さは最大16m、最大遡上高40m以上を記録した。
・この巨大津波により未曾有の災害が発生し、死者・行方不明者は2万人以上にも及び、13年が経過した今なお2万9千人ほどが避難生活を送っている。
・また、巨大津波により、福島第1原発の1~5号機で全ての電源を喪失し、原子炉を冷却できなくなり、1~3号炉で炉心溶融(メルトダウン)が発生。それに伴い、大量の放射性物質が空気中に拡散し、原発周辺が立ち入り禁止区域となった。


東北地方を中心に甚大な被害をもたらした東日本大震災から13年の月日が流れ、私を含め人々の記憶は薄れつつあります。
元日の能登半島地震は、まるで「自然の脅威を決して忘れてはいけない」との警告のようでした。
日本は、3つのプレートの境目に位置しているため、ある程度の周期で巨大地震が発生します。
次に、発生が予想されている巨大地震は、駿河湾から日向灘沖にかけてのプレート境界を震源域とする「南海トラフ地震」です。
静岡県から宮崎県にかけての一部では、震度7の強い揺れが想定され、また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える巨大津波の襲来が想定されています。

私たちにできることは、東日本大震災の教訓を生かし、「想定外」という言葉を使わずに済むように、最悪の事態を想定して災害に備えることです。
「3.11」の記憶と教訓を決して風化させることなく、本校では防災教育の充実を図って参ります。

コペルニクスとガリレオ(校長室より No.35)

先週2月15日はガリレオの誕生日でした。
そして、今週2月19日はコペルニクスの誕生日でした。
コペルニクスは1473年生まれ、ガリレオは1564年生まれですから、2人の間には100年弱の時間差があり、直接2人の人生が交わることはありませんでした。

御存知のように、2人は星の動きが地球の自転によるものだとする地動説を唱えたことで有名です。
まず、ポーランド出身の天文学者であるコペルニクスが、地球を中心に全ての星が回転しているとする天動説では説明のつかない星の動きを見つけ、晩年に著書「天体の回転について」で地動説を唱えます。

しかし、正式な出版を待たずにコペルニクスは亡くなってしまいます。
それから約100年の時を経て、イタリア出身の天文学者ガリレオが自ら発明した望遠鏡によって天体観測を行い、コペルニクスの地動説が正しかったことを証明します。
当時はキリスト教会が絶対的な力を持っており、聖書と矛盾することから地動説は否定されていました。
ガリレオは裁判に掛けられ地動説を撤回するよう強いられましたが、「それでも地球は回っている」という有名な言葉を残し、主張の撤回を拒みました。
それから程なくして、フィレンツェ郊外の幽閉先で視力を失い、間もなく息を引き取ったのです。
ガリレオの数々の理論は、現在の科学の基礎となりました。
仮説の検証に実験という手法を用いたのはガリレオが初めてであり、特にこの功績で、彼は「科学の父」と呼ばれています。

なぜ彼が、絶対の権力者・キリスト教会に対して、命がけで自分の考えを主張したのか、今となっては分かりませんが、きっと自分の中に生じた疑問、「なぜ?」をそのままにしておくことができなかったのでしょう。
そして、科学は権威に押しつぶされるようなヤワな学問ではなく、ましてや多数派意見によって正しさが証明されるものでもないこと身をもって示したかったのだと思います。
人間の飽くなき探究心によって、自然の摂理が日進月歩で解明されようとしている今日、日めくりカレンダーで2人の偉大な科学者の誕生日に触れ、科学は時代を動かし、時代を変える力を秘めていることを改めて確信しました。
人工知能の進化など科学技術の飛躍的発展が予想されるこれからの時代、科学と共に歩む生徒の皆さんの活躍を信じ、応援しています。

新しい時代に必要な力(校長室より No.34)

昨日、2月の全校朝会を実施しました。
今年度最後の全校朝会でしたが、感染症感染拡大防止のためオンラインでの実施となりました。
「日本人の季節感」と「新しい時代に必要な力」の2点について話しました。
主な内容は、以下のとおりです。


2月4日の立春を過ぎ、随分寒さも和らいできた。
「立春」というのは、二十四節気の一つである。
二十四節気は季節を表す言葉であり、古代中国で誕生し、日本には飛鳥時代に暦とともに伝わり、改良が重ねられた。
二十四節気は、1年を24分割するだが、その分け方は、日照時間が最も長い「夏至」と最も短い「冬至」で2分割。
昼夜の時間が同じ長さになる「春分」と「秋分」で4分割。
それらの間に「立春」「立夏」「立秋」「立冬」を入れて8分割、その8つをさらに3分割して24に分ける。
二十四節季には、「立春(2月4日)寒さも峠を越え春の気配が感じられる頃」、「雨水(2月19日)陽気がよくなり、雪や氷が溶けて水になり、雪が雨に変わる頃」、「啓蟄(3月5日)冬ごもりしていた地中の虫がはい出てくる頃」などがある。
今も昔も、日本人は、季節に寄り添いながら暮らしている。
日本以外にも四季のある国はたくさんあるが、ことさら日本人の季節感は称賛される。
それは、幼いころから自然に親しみ、繊細な感覚を身に付け、季節を楽しむすべを会得しているからだと思う。
是非、皆も「二十四節気」を意識して生活してほしい。
国際化、グローバル化が加速するこれからの時代だからこそ、日本のよさを感じ、日本人としての自覚を深め、自己がよって立つ基盤にしっかりと根を下ろすことが重要になりると考える。

次は、皆が生きる近未来の社会の様子について考えてみたい。
今現在も少子高齢化が進行しており、日本の65歳以上の高齢者の割合は昨年9月の時点で総人口の約29%、3623万人となった。
約25年後の2050年には、現在1億2400万人ほどの日本の人口が、3分の2のの8000万人程度になると予想される。
特に、若年層の人口減少が著しく、単純に人口比で言えば小・中学校の数も現在の3分の1で済むとの予想もある。
反対に、65歳以上の高齢者の割合が約40%程度になる見込みで、社会保障の面からも1人で1人を支える大変な時代になる。
では、世の中はどのように変わるのあろうか。
現在、第四次産業革命が進行していると言われている。
第一次産業革命では、蒸気機関などの動力の獲得、大量生産、高速輸送などにより軽工業が発展。
第二次産業革命では、ガソリンエンジン、電気モーターなど動力の革新により重工業が発展。
第三次産業革命では、コンピューターの開発、生産ラインに自動化(産業用ロボット)などのデジタル革命が進展。
そして、第四次産業革命では、「IoT(モノのインターネット)」に代表されるように、あらゆるモノや情報がインターネットを通じて繋がり、それらが互いにリアルタイムで情報をやり取りしつつ、人の指示を逐一受けずに判断・機能し、システム全体の効率を高めるとともに新たな製品・サービスを創出していくと言われていまる。
超スマート社会、Society5.0と呼ばれる社会である。
過去を振り返ってみると、Society1.0が狩猟社会、Society2.0が農耕社会、Society3.0が工業社会、Society4.0が情報社会、Society5.0が超スマート社会となる。
今後、一層進化するであろうAI(人口知能)により、2050年頃は、買い物はドローンによる宅配が中心になるかもしれない。
自動車もほとんどが自動運転になるだろうし、空飛ぶ車も登場しているだろう。
実体験とバーチャル体験の境も曖昧になり。国境の意味も今と変わっているかもしれない。
そのような時代を生きる皆には、どんな力が必要となるのだろうか。
まず、時代の変化に合わせて、様々な変化に積極的に向き合い、他者と協働して課題を解決していく力が必要になるだろう。
特に、グローバル化が進展することから、国籍や人種を問わず、多様性を受け入れ協力して課題を解決することが大切になる。
英語力もますます重要となるり、さらに、対話により結論を導き出していく力も必要となるはずである。
また、AIの苦手分野こそ人間の力が必要となるだろう。
AIの苦手なこととして、目的そのものを考えることが挙げられる。
AIに目的を与えれば、最短で最適解を導き出せるだろうが、目的そのものを考えるには、価値を見付け生み出す感性や好奇心、探求力などが必要となる。
それらはAIによって代替できない、人間の強みだと思う。
いずれにしても、新しい時代を生きる皆には、教えてもらったことを忠実に再現する力だけでは不十分で、与えられた課題を独創的な方法で解決する創造力や、課題そのものを自ら見付け改善していくような力が必ず必要になると思う。
皆が、変化の激しい25年後の世界でも活躍できるように、先生方と一緒に新しい時代に必要な力をしっかりと身に付けていこう。

初心忘るべからず(校長室より No.33)

先週、2月2日(金)に立志式を実施しました。
式中、「立志の決意」を堂々と発表する生徒たちの姿から、14年間の確かな成長を感じるともに、今後の更なる飛躍に期待が膨らみました。
私の式辞では、世阿弥の「花鏡」から「初心忘るべからず」の言葉を送りました。
主な内容は以下のとおりです。


「花鏡」には、「しかれば、当流に、万能一徳の一句あり。初心忘るべからず。」との一節があり、さらに「この句、三箇条の口伝あり。是非の初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず。老後の初心忘るべからず。」と続き、能の芸について初心時代の未熟さを忘れないよう戒めが示されている。
転じて現代では、「物事に慣れると慢心してしまいがちだが、最初の頃の志を忘れてはいけない」という意味で使われれる。

人は、物事のはじめには、強い「希望」や「目標」を持って出発するが、だんだんと月日が経つにつれて、初めの頃の熱い気持ちを忘れ、現実の甘い生活に妥協し、安易で楽な方に流されがちになる。
最初のうちは、自分の進むべき道からそれていることに気付くものだが、軌道修正を怠っているうちに、希望や理想から遠く離れてしまい、目指すべき道すら見失ってしまうことがある。
そのようなことにならないためにも「初心忘るべからず」の言葉を肝に銘じてもらいたい。

夢や目標を持ち、それを実行に移すときには、必ず多くの困難にぶつかるが、簡単に諦めてはいけない。
夢や目標の実現は、他人から与えられるものではなく、自ら努力して勝ち取るものだからである。
もし、くじけそうになったら、「立志の決意」を一生懸命考え堂々と発表したときの今日の熱い気持ち、「初心」を思い出し、自らを奮い立たせ、東中の心意気で頑張ってほしい。


保護者の皆様方には、生徒たちが立志の決意を実現できるよう、愛情と厳しさを持って見守り導いていただけますよう、お願いいたします。
私ども教職員も生徒たちの夢の実現を全力で支援して参りますので、今後とも、御支援、御協力のほどよろしくお願いいたします。

なお、立志記念講演では、隻腕のプロゴルファー小山田雅人氏から「 ないものを嘆くより、あるものに感謝したい」との言葉とともに、あきらめずに困難に立ち向かい夢を実現する大切さをお話しいただきました。学びの多い立志式となりました。

 

夢の実現に向けて(校長室より No.32)

本日、1月24日(水)の朝、表彰と全校朝会を行いました。
全校朝会の主な内容は、以下のとおりです。


新年を迎え、生徒の皆も気持ちも新たに夢や目標を思い描いたことだろう。
新年がスタートして既に数週間が過ぎたが、果たして皆は、夢や目標の実現に向けて確かな歩みを進めることができているか。
「光陰矢のごとし」。
時の経つのは本当に早いもので、あっという間に時間は過ぎ去っていく。
漠然と日々を過ごしてはいけない。

それぞれの学年や立場に応じた夢や目標の設定は、その後の成長に重要な役割を果たす。
確かな夢や目標を持ち、それを実現するための具体策を考え、今しかできないことを着実に実行することが、何より大切である。
各界で活躍されている方々も子供のときに明確な夢や目標を持ち、それに向かって努力した。

メジャーリーグで大活躍している大谷翔平選手が、高校1年生のときに記した目標達成シート(オープンウィンドウ64)がここにある。
中心に一番成し得たい目標を書き、その周りに目標の達成に必要な8つの要素を書く。
大谷選手の場合は、高校1年生のときの成し得たい目標が「8球団からのドラフト1位指名」、そしてそれを実現するための8つの要素を「体づくり、コントロール、キレ、スピード160km、変化球、運、人間性、メンタル」とした。
8つの要素それぞれに8つの具体的な項目を書き、「8×8=64」となるためオープンウィンドウ64と言われている。

夢の実現、目標達成に向けて大切なことは、大谷選手の目標達成シートのように、今、自分がやるべきことを明確にすること、そしてそれがより具体的であること。
大谷選手は、高校時代に今やるべきことを何回も見直しており、最終的には3年間で16枚の目標達成シートを作成した。
また、野球に関することだけでなく、「運」や「人間性」を書き入れているところに彼のひととなりがうかがえ、そんな彼だからこそスポーツの垣根を越えて多くの人に愛されているのだと思う。

新年を迎え、皆さんが気持ちも新たに思い描いた様々な夢。
その夢を夢のままで終わらせないよう、そして将来その夢を通して社会に貢献できるよう、東中伝統の「心意気」を大切にしながら、今やるべき具体策を考え確かな歩みを進めてほしい。
御家族や東中の先生方も皆の夢の実現を全力で支援する。
一緒に夢を実現させよう。

(出典:『PRESIDENT』2018年7月30日号)

 

いつか必ず(校長室より No.31)

写真のように、校内のあちこちに飾られている「シャコバサボテン」がきれいな花を咲かせています。
この品種は、南米の高山を原産とするサボテンで、冬場のクリスマスの時期に開花することから、海外では「クリスマス・カクタス」とも呼ばれています。
開花には、日照時間が関係しているようです。

冬の寒い時期に咲いたシャコバサボテンの美しい花を見て、安積得也さんの「明日」という詩を思い出しました。
「はきだめに えんど豆咲き 泥地から 蓮の花が育つ
 人皆に美くしき種子(たね)あり 明日何が咲くか」

子供たちの限りない可能性に期待する作者の思いが込められた、すばらしい詩だと思います。
安積さんは、詩人としてだけではなく、官僚や栃木県知事(官選)、社会評論家など多方面で活躍された方です。
また、明治、大正、昭和、平成と4つの時代を生き抜いた方でもあります。

子供たちは様々な可能性の種子を秘めていますが、そこから咲く花は一つとして同じ形や色のものはなく、花の咲く時期も異なります。
しかし、必ず花は咲きます。

この詩を思い出して、改めて、教師の仕事は子供たちが持っている可能性を信じ、様々な支援をしながら、辛抱強く開花を待つことなのだと感じました。
生徒の皆さんも自身の中にある可能性の種子を信じ、努力してほしいと思います。
いつか必ず大輪の花が咲くはずです。

星に願いを(校長室より No.30)

冬の夜空を彩る「ふたご座流星群」が、12月15日(金)午前4時頃に極大(流星群自体の活動が最も活発になること)を迎えます。
ふたご座流星群が普段より目立って多く見えるのは、12月13日の夜から15日の夜の3夜と予想されます。
どの夜も、21時頃から見える流星の数が増え、夜明けを迎える翌朝の5時過ぎ頃まで観察できます。
空の暗い場所で観察した場合、14日21時頃には、すでに、1時間あたりの流星数が30個を超えそうです。
放射点が高い空に達する15日0時から3時頃においてはさらに多くなり、暗い空で見える流星数は、1時間あたり70個に達する可能性があると予想されます。
この予想流星数は、ここ数年のうちでは最も多く、絶好の観察条件と言えるでしょう。

流星は、ふたご座近くの「放射点」から四方八方に走り、空全体に現れます。
ふたご座の周辺だけに見られるわけではないので、観察に当たっては、街灯など人工の明かりが少なく、できるだけ空が広く見渡せる場所を選んで、空の広い範囲に注意を向けるとよいでしょう。
また、流星群の観察には、目が暗さに慣れるまで15分ほどは観察を続ける必要があります。
かぜをひかないように、暖かい格好で観察することも大切です。

ふたご座流星群は、1月のしぶんぎ座流星群、8月のペルセウス座流星群と並んで「三大流星群」と呼ばれています。
太古の昔から、人類は星にたくさんの願い事をしてきました。
今日も明日も天気は大丈夫そうです。
東中生の皆さん、この機会に流星群を観察し、願い事をしてみてはいかがでしょうか。
私も、「ふたご座流星群」の流れ星に、東中生みんなの願い事がかなうよう、お祈りするとしましょう。