校長室から

2022年6月の記事一覧

6月の朝会「ものを大切にしよう」

6月6日(月)の朝会講話の内容です。ご家庭でも話題にしていただけると幸いです。

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6月の校長講話「ものを大切にしよう」

 靴のかかとをつぶして歩いている人がいると、ちょっと心が痛みます。「靴」って自分の体を守ってくれたり、力を発揮してくれたりする、とっても大切なものだからです。そこで今日は「靴」を例にとって、「ものを大切にしよう」というお話をします。

 私は、中学校から大学生まで、卓球部に所属し、毎日一生懸命練習していました。大学生の時、あるスポーツメーカーに頼まれ、卓球シューズの開発に協力しました。何人かの卓球部員がそのメーカーの靴を使って毎日ハードに練習し、メーカーにそれを渡すという事を何度か繰り返しました。メーカーでは、それを細かく分析し、靴の底のゴムの堅さや、ゴムの減り方、体重のかかり方、布の性能、ひもを通す穴の位置の調整、履き心地など、小さな修正を何度も何度も繰り返し、履きやすくて性能の良い靴を開発していました。大学生が汗まみれになった汗臭い靴を宝物のように大切に会社に持ち帰り、丁寧に丁寧に分析し、良いものをつくるためにこだわり抜いて、それは本当に履きやすくて性能の良い、しかもかっこ良い靴になっていきました。その努力の結晶ともいえる卓球シューズの完成に、「このシューズは宝物」だと、強く感じました。

 シューズができるために、一体何人の人がかかわったでしょうか。例えば、ゴムの木を育て、ゴムの原材料を作った人、それを加工した人、加工するために機械を開発した人、機械を操作する人、加工する時に配合したり燃料として使ったりする石油を掘った人・運んだ人、原油を製品に変えた人、布、紐、着色、デザイン、縫製、研究者、開発にかかわった人・・・数え切れないほどの、世界中のいろいろな人の努力が結集されています。それを知ると、靴を作るためにどれほどの知恵と努力と愛情が詰まっているか、思い詰まされます。そして、皆さんであれば、その靴を購入してくれる親の愛情にも感謝です。

 靴は足を守るもの、体を守るもの、そして命を守るものです。場合によっては人生が変わることもあるかも知れません。だから、靴のかかとをつぶして履いている人を見かけると、靴をつくるために頑張った大勢の人のがっかりする姿が頭の中に浮かんでしまうのです。靴を使う人は、その靴を大切にすること、そして存分に使うことです。それは靴のことだけではありません。例えば皆さんが持っているランドセル、教科書、鉛筆や消しゴム、洋服や傘・・・あるいは皆さんが食べているご飯やおやつ・・・どれも、生産や開発をした大勢の人たちの思いが詰まっているのです。

 一つのものが皆さんに届くまでには、たくさんの人の努力があります。ですから、そのことに感謝して、どんなものでも大切にしていける皆さんであってほしいと願っています。

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