校長室から

お知らせ

6月の朝会「ものを大切にしよう」

6月6日(月)の朝会講話の内容です。ご家庭でも話題にしていただけると幸いです。

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6月の校長講話「ものを大切にしよう」

 靴のかかとをつぶして歩いている人がいると、ちょっと心が痛みます。「靴」って自分の体を守ってくれたり、力を発揮してくれたりする、とっても大切なものだからです。そこで今日は「靴」を例にとって、「ものを大切にしよう」というお話をします。

 私は、中学校から大学生まで、卓球部に所属し、毎日一生懸命練習していました。大学生の時、あるスポーツメーカーに頼まれ、卓球シューズの開発に協力しました。何人かの卓球部員がそのメーカーの靴を使って毎日ハードに練習し、メーカーにそれを渡すという事を何度か繰り返しました。メーカーでは、それを細かく分析し、靴の底のゴムの堅さや、ゴムの減り方、体重のかかり方、布の性能、ひもを通す穴の位置の調整、履き心地など、小さな修正を何度も何度も繰り返し、履きやすくて性能の良い靴を開発していました。大学生が汗まみれになった汗臭い靴を宝物のように大切に会社に持ち帰り、丁寧に丁寧に分析し、良いものをつくるためにこだわり抜いて、それは本当に履きやすくて性能の良い、しかもかっこ良い靴になっていきました。その努力の結晶ともいえる卓球シューズの完成に、「このシューズは宝物」だと、強く感じました。

 シューズができるために、一体何人の人がかかわったでしょうか。例えば、ゴムの木を育て、ゴムの原材料を作った人、それを加工した人、加工するために機械を開発した人、機械を操作する人、加工する時に配合したり燃料として使ったりする石油を掘った人・運んだ人、原油を製品に変えた人、布、紐、着色、デザイン、縫製、研究者、開発にかかわった人・・・数え切れないほどの、世界中のいろいろな人の努力が結集されています。それを知ると、靴を作るためにどれほどの知恵と努力と愛情が詰まっているか、思い詰まされます。そして、皆さんであれば、その靴を購入してくれる親の愛情にも感謝です。

 靴は足を守るもの、体を守るもの、そして命を守るものです。場合によっては人生が変わることもあるかも知れません。だから、靴のかかとをつぶして履いている人を見かけると、靴をつくるために頑張った大勢の人のがっかりする姿が頭の中に浮かんでしまうのです。靴を使う人は、その靴を大切にすること、そして存分に使うことです。それは靴のことだけではありません。例えば皆さんが持っているランドセル、教科書、鉛筆や消しゴム、洋服や傘・・・あるいは皆さんが食べているご飯やおやつ・・・どれも、生産や開発をした大勢の人たちの思いが詰まっているのです。

 一つのものが皆さんに届くまでには、たくさんの人の努力があります。ですから、そのことに感謝して、どんなものでも大切にしていける皆さんであってほしいと願っています。

                                R4.6.6 朝会 校長講話

5月の朝会

5月10日(火)に朝会で話した内容です。

ご家庭でも何かの話のきっかけになれれば幸いです。

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「ルールとマナー」について

 皆さん、おはようございます。

 今日は、ルールとマナーについてお話します。

 小学生になると、いろいろなルールが増えてきますが、なぜでしょう。それは、みんなが安心して安全に生活するためです。例えば、登下校の時、「1列で歩く。横断するときには左右の安全確認。交通ルールを守りましょう。」というルールがあります。これを守らず、細い道や車がたくさん通る道を2列や3列で歩いたらどういうことになるでしょう。そう、とても危ないのです。そして、万が一交通事故に遭ったら、自分だけが痛い思いをするだけでなく、登校班の人たち、家族や親戚、先生方、お友達、そして車を運転していた人も、みんなつらい思いをするのです。学級のルールをみんなが守らなかったら学級はどうなるでしょう。例えば、授業開始のチャイムが鳴ったのに授業の準備をしないで遊んでいたりすると授業が始まりません。係や日直など、自分が引き受けた仕事の責任を果たさないと、みんなが困ってしまうことになります。

 次に、マナーについてお話しします。マナーというのは、決まりではないけれど、みんなが気持ちよく生活するための心遣いの事です。

 例えば、人の悪口を言ったり人を無視したり意地悪したりする人がいたりすると、クラスは居心地が悪くなってしまいます。そうすると、言われた人だけではなくて、悪口を聞かされた人、悪口を言っている人を見た人など、多くの人が嫌な気持ちになってしまいます。自分の出したゴミを教室の床に捨てたり、荷物をきちんと片付けないで散らかしたりしていると、多くの人が不快な気持ちになります。

 逆に、順番を守る、間隔を取って並ぶ、気持ちの良いあいさつをする、お礼が言える、教室は整理整頓してきれいに使う、悪口を言わない、などができている人は周りから好感をもたれますし、それができているクラスは、とっても居心地が良くなり、安心して勉強や様々な活動ができて、その結果学力も高まります。

 皆さんが安心して生活するためには、ルールやマナーを守ることがとても大切です。そして、実はそれは当たり前の事なのです。当たり前のことが当たり前にできる、それが自分自信を高め、学級力を高めるのです。

 クラスづくりはまだ始まったばかりです。皆さん自身で良いクラスを作り上げ、3学期の修業式の時には「クラス全員で協力して作り上げた最高のクラス」と感じながら卒業や進級を迎えられることを楽しみにしています。

                                  R4.5月10日 朝会 校長講話

3月はクライマックス

 3月という季節は、暖かくなったと思ったら真冬の寒さがぶり返したり、晴天かと思ったら雨や雪が降ったりと、何とも不安定な日々です。私たちの心の中も、この3月の天気に重なるところがあるような気がしています。

 18日には、本校第37回卒業式が挙行されました。厳粛な中にも花のある、素晴らしい卒業式になりました。コロナ対策で一喜一憂しながらも、保護者の皆様に御列席いただき感動的な卒業式を挙行できたことは、この上ない喜びでした。御理解と御協力をいただいた保護者の皆様には、心より感謝申し上げます。

しかし、6年生が卒業した後は何とも寂しく、心の天気はどうも晴天とばかりにはいきません。

 ところが、6年生が卒業した後の1~5年生の様子、進級の自覚でみなぎる顔がそこにありました。そのたくましい在校生の様子に、また我々の心は晴れやかに変わりました。そして、6年生の卒業に続き、今のクラスを卒業するためのクライマックス、どのクラスも素晴らしく盛り上がりました。この1年間、教室を共に過ごした仲間との、友情、協力、団結、協働、思いやり、感動、感謝・・・みんな全身が春爛漫の晴天になっていました。

 修業式の翌日からは、職員室のクライマックスです。研修や今年度のまとめ、校内整備等が目まぐるしく行われています。しっかりと令和3年度を閉じ、4年度を迎えるため、今、教職員の心が一つになっています。

 

 保護者の皆様には、この1年大変お世話になりました。温かい御支援、御協力が我々教職員にとって大きな力になりました。次年度も引き続き、よろしくお願い申し上げます。                     

2月の校長講話「鬼は外 福は内」

 

2月の朝会 講話 「鬼は外 福は内」

 7日の朝会では、次のようなお話をしました。少し難しかったかもしれませんので、御家庭でもフォローしていただけるとありがたいです。

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 先週3日の節分では、「鬼は外、福は内」と大声を出しながら豆まきをしたお家も多かったのではないでしょうか。今日は「鬼」と「福」について考えてみたいと思います。「鬼」というのは、自分や自分の身近で起こる嫌なこと、不運な事や災いなどの事を、そして「福」というのは、良いこと、幸せなこと、願いが叶うこと、などを意味します。つまり、「悪いことは外に行け」「良いことは内においで」という事です。

 ところで、今、中国北京では冬季オリンピックが開かれています。オリンピックという舞台でたくさんの「福」が見られること、とても楽しみです。

 アスリートは、自分の体、心、技術を、鬼のように徹底的に磨き上げます。来る日も来る日も練習に明け暮れ、極限まで自分を鍛え上げます。また、プレッシャーにも打ち勝てるように、心を鍛えるトレーニングもします。有名になればなるほど、応援されるだけでなく、誹謗中傷などもたくさん言われるので、常に心を整えるのも鬼のように大変です。しかし、選手たちには「目標」があります。だから鬼のような練習も、鬼のようなプレッシャーも、突き刺さるような批判の声も、時には怪我に苦しむ事も、前向きに受け止めようとするのです。つまり、体のトレーニングも、技術のトレーニングも、心のトレーニングも、鬼のように厳しいけれど、目標に向かう事で「鬼」を「福」に変えようと努力し、少しずつ「福」を増やしていくことで、自信を深めたり周りに感謝できるようになっていったりするのです。

 これは、オリンピック選手だけではなく、皆さんにも同じような事があります。例えば、漢字10個をノートに10回ずつ書いてくる宿題が出たとします。何も目標がなければ、ただ書くだけの面倒くさい宿題です。つまり「鬼」です。でも、次の日その10問の漢字テストがあるとすれば、「満点取る」という目標を立てて努力することができた時、それは「福」に変わります。満点が取れればそれも「福」になるし、満点が取れなくても、できなかった漢字が分かり、もう一度覚え直すことができるのだから、それも「福」になります。物事は、考えようによって「鬼」にも「福」にもなるのです。「鬼は外、福は内」というのは「物事を悪い方に考えることは心の外に出し、良い方に考えていくことで、福はどんどんやってくるよ」という解釈もできそうです。

 約2週間の冬のオリンピックでは、たくさんの「福」が見られるはずです。さらに、視点の当て方で、自分の周りにもたくさんの「福」が転がっているはずです。豆まきの時のようにたくさん撒かれる「福」を感じながら、自分自身の身近にある小さな「福」を増やしていきましょう。「福」が増えると自然に「顔晴る(がんばる)」人が増えていきます。皆さんの「顔晴る」姿を頼もしく思っています。

                                               校長

P.S 保護者の皆様も、日常に転がっている「福」を年の数だけ拾ってみてください。勿論、もっと拾ってもいいですが(^~^)

 

コラム⑦ 笑顔の育て方について考える

 学校は笑顔であふれるところであってほしいと、常々考えています。そして、その中でも重要な笑顔のひとつは、課題をクリアできた時の達成感の笑顔です。例えば、「できなかったことができるようになった」とか、「知らなかったことを知ることができた」、「うまくいかなかったことがうまくいくようになった」などです。つまり、今までの自分より成長した自分を感じた時の笑顔は最高に輝いています。

 2学期、2年生が掛け算九九を暗唱できるように全員で努力を重ねました。早く覚えた児童は苦労している友達を助けたり、教え合ったり励まし合ったりしながら、全員が九九暗唱テストで合格しました。緊張しながらテストを受ける子供たち、合格できた時の満面の笑顔は充実感にあふれていました。そして、クラス全員が合格した時、教室は笑顔であふれていました。

 縄跳び検定があると、一生懸命に縄跳びの練習をし、できなかった二重跳びやハヤブサなどができるようになると「先生見て見て!」と大喜びです。漢字50問テストに向けて一生懸命勉強して満点とれたとか、運動会で発表するダンスをたくさん練習して、本番満足のいくパフォ-マンスができたなど、苦労すればするほど達成感を味わった時の笑顔は充実感にあふれ、成長につながります。

 友達と心がすれ違ってつらい思いを抱えた子供が、解決のために保護者や教師に相談したり、友達に自分の気持ちを伝えたりして、解決のために勇気を出す経験をしながらこの問題に向き合います。解決し安心感を味わえた時、笑顔が戻ってきます。我々大人もホッとする笑顔です。

 長い期間努力を重ねて目標を達成できたときの笑顔、悔しい思いやつらい思い、毎日続ける苦労などを大きな価値に変えてくれます。

 いつもどんな時でも笑顔でいるのはとても難しいことです。世の中に出ると、歯を食いしばって頑張らなければならないことがたくさんあります。そのために、課題をクリアさせて達成感を味わわせることは大変重要な学びです。小さなうちから発達段階に応じた課題のクリアを経験させ、それを自信につなげていきたいものです。周りの大人は、子供を見守り、励まし、寄り添い、心の成長を支えてあげることが大切です。ややもすると、大人が先回りして子供自身が乗り越えられる課題の解決能力を摘んでしまうことがあります。もちろん、未然防止に努めなければならないことも山ほどありますが、子供たちの「乗り越える力」を育て、賢く優しくたくましく成長させていくために大人がうまく舵取りをしていくことは重要です。

 子供たちの成長の「笑顔」に教えられることがたくさんあります。子供たちの「笑顔」に感謝!です。