日誌

2016年6月の記事一覧

ワンフレーズとストーリー


 6月23日(木)に第3回真岡市小中学校校長会がありました。私は、いくらかでも校長先生方にお役に立てればと思い、毎月教育長室だよりを作成し、校長会の折に配布しております。今回の巻頭言では、私が校長のときに心がけていた次のことを書きましたのでご紹介します。
 
「ワンフレーズ」と「ストーリー」で勝負
 前回、「校長の言葉は学校組織を動かす」ということについて述べましたが、そこで重要になるのが「ワンフレーズ」と「ストーリー」です。
  小泉純一郎元首相は、まさにそのワンフレーズで人を引きつけ、強いリーダーシップを発揮した指導者と言えます。例えば、かつて怪我を抱えながらも気力で優勝した貴乃花関に、「痛みに耐えてよく頑張った。感動した!」と讃えた言葉は有名で、今でも多くの人に知られていると思います。また、国の施策等を表した「構造改革なくして成長なし」や 「郵政民営化が改革の本丸だ」などの簡潔明瞭な言葉は、自身の考えを国民に分かりやすく伝え、見事に国民の心を掴みました。
 このように、自分の考えや主張を凝縮しワンフレーズで表すことができると、分かりやすくインパクトもありますので効果的です。校長先生がメッセージを発信する際にも、ワンフレーズでうまく表現できると、確実に伝わり記憶にも残るでしょう。と言いましても、なかなか端的に表現するのは難しく、容易ではありません。ですが、先ずは実践。よく考え、言葉を吟味・精選し、ワンフレーズで表すことを心がけてみてはいかがでしょうか。
  一方で、ワンフレーズだけで全てが伝わるということではありません。そこで、ストーリーが大切になります。
 平井孝志・古田興司著『組織力を高める』では、「ある事柄が、自分との関連性が強く、連想が広がり、そしてそれがストーリー性をもって伝えられたとき、それは心の奥に大きなインパクトを与えることになる」とあります。そして、「組織内でのコミュニケーションにストーリー性をもたせるということは、指示や説明を行う際に、前後の文脈をしっかりと語ることだ」とも言っています。つまり、単なる事実の羅列ではなく、それらが一つのスト-リーとして伝えられたとき、人は共感し心を動かすのです。そして同時に、組織も動くのです。ですから、校長先生がリーダーシップを発揮するときには、ストーリーを無視することはできず、根拠を示したり、論理的なつながりを重視したりして、職員に納得が得られるよう、自身の考えや思いを発信してほしいと思います。
   
 

 
 

元気なあいさつ 明るい応答


 去る6月13日(月)の議会一般質問で、大瀧和弘議員から、「元気なあいさつ 明るい応答」について質問がありました。
  この言葉は、私が昨年勤務した山前中学校の卒業記念碑に刻まれた言葉で、あいさつ運動の合い言葉として使わせていただいたものです。昨年5月の学校だよりでは、次のように家庭にも呼びかけましたので、ここでご紹介します。

   皆さんは、本校の正門西脇に「元気なあいさつ 明るい応答」と刻まれた碑があるのをご存じでしょうか。これは遡(さかのぼ)ること今から38年前、昭和52年度の卒業記念碑なのです。当時から本校では、あいさつの励行に力を入れて、学校全体で取り組んでいたことがうかがわれます。
 あいさつは、漢字で「挨拶」と書きます。この「挨」という漢字には「心を開く」という意味があります。また、「拶」という漢字には「迫る」という意味があります。つまり、「挨拶」という漢字は「心を開いて迫っていく」という意味を持っているのです。だから、好ましい人間関係を築く第1歩はあいさつからといえます。見知らぬ人からでもあいさつをされますと、何となく気分が良くなるのはこのためなのでしょう。「元気なあいさつ 明るい応答」の碑
 さて本校では、当時の先輩方が残してくれたこの記念碑の精神を受け継ぎ、誰もが元気なあいさつができるよう、学校全体で取り組んでいます。「元気なあいさつ 明るい応答」を合い言葉に、いつでも、どこでも、誰とでも、元気なあいさつができるよう呼びかけています。そして、更にあいさつ日本一の学校を目指したいと思っています。そのためには、保護者の皆様のご協力が欠かせません。
 そこで確認です。朝起きたとき「おはよう」とお子さんに笑顔であいさつができているでしょうか。また、帰宅したときの「おかえりなさい」はいかがでしょうか。一日のスタートを気持ちよいあいさつで始めたいものです。また、疲れて帰ったときの「おかえりなさい」の一言は何よりも嬉しいものです。お子さんにとっても、保護者の皆様にとっても、あいさつは元気の源となりますので、ご家庭でも「元気なあいさつ 明るい応答」を合い言葉に、あいさつの励行にご協力をお願いします。
                 山前中学校 学校だより「山前中は今」5月号より          

子供にとって楽しい学校にするために

 来週から3年に1度の合同訪問が始まります。かつて、合同訪問の折には、「子供にとって楽しい学校にするために」ということで、次のような話をしました。(合同訪問は、教育事務所や市教委等が学校経営や教育課程等を支援するため、学校を訪問することです)

 いうまでもありませんが、学校は子供のためにあります。ですから、学校は子供にとって楽しくなければなりません。しかし、「楽しい」といっても、単に楽しいという意味の「愉快」や、欲求が満たされたとき楽しい「快楽」という意味ではありません。そこで私は、子供にとって楽しい学校にするためには、特に次のことが重要と考えております。
 まず第一に、「わかる授業」です。学校は勉強するところですから、子供は勉強がわかってはじめて学校の楽しさを感じると思います。そのためには、なんと言ってもわかる授業が不可欠です。しかし、この「わかる」というのは、子供にとってわかるということで、そう簡単ではありません。
 例えば、子供はどのようなときにわかるのでしょうか。教師の説明と実際に体験したときでは、どちらが子供にとってわかりやすいのでしょうか。あるいは、子供にとってわかる教材とは、子供にとってわかる板書とは、子供にとってわかるワークシートとは、などなど、教師は子供にとって「わかる」ということを追究してほしいと思います。
 そのためには、授業研究が大切です。校内授業研究会等により互いに授業を公開し、授業について話し合い、子供にとってわかる授業を追究してほしいと思います。
 次に第二として、「居(い)がいのある学級」づくりです。学校生活の中心は学級です。子供は就寝時間を除くと、家庭で過ごす時間より長く学級で過ごしています。ですから、その学級が居心地が悪ければ楽しくなるわけがありません。したがって、一人一人が認められ大切にされる、子供にとって居がいのある学級づくりに努めていただきたいと思います。
 そして第三として、「子供を生かす教育活動」です。一人一人の子供にはよさがあります。そのよさを認め、引き出し、伸ばすことが教育であり学校の役目です。学校のあらゆる教育活動はそのためのものです。つまり、各教育活動は、子供のよさが発揮され向上することを目的に実施され、教師はそのために適切な指導・支援をしなければならないのです。それが子供を生かす教育活動であり、積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 これは、私の基本となる学校観ですので、今年度の合同訪問の際にもお話ししたいと思っています。