日誌

2021年2月の記事一覧

立志式を迎えた皆さんへ

   本市では、立志を迎えた皆さんを市全体で祝福するために、市内9中学校で一斉に立志式を行っています。今年は新型コロナウイルス感染防止のため、教育委員会や来賓の出席はありませんでしたが、改めて、教育長としてお祝いのことばを申し上げます。
 立志を迎えた中学2年生の皆さん、そして保護者の皆様、おめでとうございます。
 立志式とは、武士の社会で行われていた「元服」の儀にちなんで、14歳になったことを祝う式のことです。元服とは、奈良時代以降、成人を示すものとして行われる儀式のことで、通過儀礼の一つになっていました。つまり、この時代では、14歳になると大人の仲間入りをしたということになります。現代では20歳に行われる成人式が大人の仲間入りをする儀式ですから、「立志」とは文字通り「志を立てる」ことであり、この時期に立志を迎える意義は大きいのです。
 と言いますのは、14歳という時期は、3年生への進級を控え、自分の進路や生き方について、これまでを振り返り、これからどのように生きるか、新たに誓いを立てることが必要な、節目となる時期だからです。ですから皆さんは、それぞれが立志の誓いとして、将来の夢や希望を真剣に考えて「誓いのことば」等に表したことと思います。そして、式では堂々と発表されたと思います。
 元東京大学の総長で、政治学者であった南原繁(なんばら しげる)氏は、「夢や理想は単なる抽象的な概念ではない。必ず実現の力となって働くものだ」と言っています。つまり、夢や理想を持つこと自体に意味があって、それは実現の原動力となるからだと言っているのです。
 皆さんが生きるこれからの21世紀は、一層情報化やグローバル化が進むと思われます。
変化の激しい、先行き不透明な時代とも言われています。そのような中だからこそ、大きな夢をもち、高い理想を掲げ、その実現のために強い意志をもってやりぬいていただきたいと思います。意志あるところに道は開けます。皆さんの輝かしい未来を祝福いたします。
 結びに、保護者の皆様に一言お願い申し上げます
 お子様は、14歳を迎え、思春期前期に入り、人生において最も多感な時期に差し掛かります。この時期は、自発性が高まり、自ら考え、判断し、目標に向かって努力できる時期でもあります。勉強や部活動に、「目標をもってがんばる」という、人生における基本を身に付けることが大切な時期になります。学校ではその基本を身に付けられるよう、勉強や部活動指導を行っております。保護者の皆様にも、一層の学校へのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、お祝いの言葉といたします。

いじめのない学校風土をつくる

   昨年度の少年の主張芳賀地区大会で、大内中の大塚雫華(しずは)さんは、「いじめのない社会へ」と題して、次のように発表をしています。

    私の学校では、全校生徒による「いじめ防止サミット」を行っています。自分たちの行動を振り返り、いじめを撲滅し、明るい学校にする。そのために、クラスや学校全体でいじめについて話し合い、いじめ撲滅宣言を作成しました。いじめの理不尽さを知り、いじめについて深く考えることができて良かったと思います。 「いじめ防止サミット」を行う前は、誰かの陰口などをよく聞きましたが、サミットの後は、あまり聞かなくなりました。

    校内いじめ防止サミットは、いじめのない学校を目指して、子供たち自らが考え、力を合わせていじめ防止に取り組む活動です。いじめは子供の中で起きていますから、早期発見や防止には、子供たちのいじめに対する感覚を磨き、意識を高めることが何よりも大切です。校内いじめ防止サミットはそのための活動であり、子供たちが日常的にいじめ防止に取り組む態勢をつくることができます。
 この活動は、平成29年度・30年度に山前中学校が県教委指定の人権教育研究校となったことを機に、その取組の一環として始めたものです。その後、各学校でも取り組んでいただいておりますが、昨年度の大塚さんの発表はその成果の表れと大変嬉しく思いました。
   いじめは軽微なものを含めると、ほとんどの学校で起きています。しかも、年々増加の傾向にあります。

    昨年10月に発表された文部科学省の問題行動調査では、全国の国公私立小中高校と特別支援学校で令和元年度に認知されたいじめは61万件を超え、過去最多を更新しました。本県でも24%増の6003件と過去10年間で最多となっています。これは、学校がいじめを見逃さないよう細心の注意を払っている結果と言えます。問題は、平成28年度に90%を超えていたいじめの解消率が82%に低下していることです。いじめは見えにくく、加害者と言われても悪意や自覚がないことがあります。また、いじめは複雑で、加害者と被害者が逆転することもあり、対応が難しくなっていることがこの数値に表れています。
    ひとたびいじめが起きると解決に苦慮するケースが増えています。ですから、いじめが起きないことがベストであって、そういう学校風土をつくらなければなりません。再度言いますが、いじめは子供の中で起きていますから、それは教職員だけでは難しく、子供の力が必要です。そのためには、校内いじめ防止サミットなど全校体制の取組が一層充実することを期待しております。