日誌

2018年12月の記事一覧

当たり前のことができないから問題を起こすのです

 もう大分前のことですが、こんなことがありました。
 ある担任が不登校気味の生徒を職員室に連れてきて、「なぜ約束を破ったんだ。今日は学校に来ると約束したじゃないか」と、少し声を荒げて指導していました。生徒は何も言えず、黙ってうつむいていました。おそらく、担任はこの生徒と、今日登校することを約束していたのでしょう。しかし、いつまで待っても登校しなかったため、しびれを切らし家まで行って生徒を連れてきたのです。
 その様子を、職員室の片隅で校長が見ていました。生徒が教室に戻った後、校長はその担任に、「約束を守れるような生徒は不登校にはならないよ」と、ぼそっと言いました。
 それが耳に入った瞬間、私は「はっ」としました。不登校の初期の段階の子供に、登校を促す指導の一環として、登校する日を約束させるという方法はよく行われています。私も何度か同じような指導をしたことがあります。約束を破られたことももちろんあります。ですが、校長が言われたように「約束を守れるような生徒は不登校にはならない」という認識は全くありませんでした。
 そうなのです。不登校のみならず、問題を起こすような子供は、当たり前のことができないから問題を起こすのです。子供の行為は生活環境が大きく影響していますし、その生活環境はそれぞれ違います。子供には選択の余地はなく、不幸にも劣悪な環境に身を置かざるを得なかった子供もいるでしょう。そういった子供はむしろ犠牲者と言えます。そう思えば、問題行動を繰り返す子供であっても、寛容さも生まれますし、根気強く対応することもできます。児童・生徒指導の幅も広がるというものです。このときから、問題を起こす子供に対する見方が180度変わったことを覚えています。
 学校では現在、不登校をはじめ、いじめや暴力行為等さまざまな児童・生徒指導上の問題が発生しています。こういった問題行動は一朝一夕には解決が難しく、教師の中には、繰り返し指導してもなかなか効果が出ないことに焦りを感じている者もいるかもしれません。それどころか、問題行動の改善を急ぐ余り、感情的に指導してしまい、問題をより大きくしてしまったなどというケースも散見します。
 そうならないためにも、問題を起こす子供は「当たり前のことができないから問題を起こす」という認識に立って指導してほしいと思います。そうすれば焦りも緩和できるでしょうし、何よりも寛容な気持ちで根気強く指導することができます。児童・生徒指導には根気強さが何より大切ですから、是非ともこのことは忘れないでいただきたいと思います。