校長室から

校長室から

7月講話

           夏の星座を探す目印 「夏の大三角形」

 本日は7月7日ですね。7月7日は何の日か知ってますよね。そう、七夕ですね。七夕の由来は、皆さんも御存知の織姫・彦星の星物語から始まります。新暦の7月7日はまだ梅雨のさなかで星空もよく見えないかもしれませんが、旧暦の七夕は現在の8月7日頃なので夜空もきれいに見えるはずです。もし、七夕の日に星が見えなかったら、旧暦の7月7日に当たる8月7日に、東の空を見上げてみてはいかがでしょうか。
 さて、私は理科が専門ではないので、書籍から引用して紹介します。2人の星物語の前に、星座の確認をしておきましょう。天の川に輝くこと座のベガが織姫で、わし座のアルタイルが彦星です。この2つの星と白鳥座のデネブを結んだものが「夏の大三角形」(PDFを参照)と呼ばれ、夏の星座を探す目印になっています。白鳥座は、二人の橋渡し役となるカササギです。カササギは、実際にはこのような鳥ですね。
 では、二人の星物語についてです。天の川の西岸に織姫という姫君が住んでいました。織姫は機織りの名手で、美しい布を織り上げては父親である天帝を大変喜ばせていました。そんな娘の結婚相手を探していた天帝は、東岸に住む働き者の牛使い彦星を引き合わせ、二人はめでたく夫婦になりました。ところが、結婚してからというもの、二人は仕事もせずに仲睦まじくするばかり。これに怒った天帝が、天の川を隔てて二人を離れ離れにしてしまいました。しかし、悲しみに明け暮れる二人をふびんに思った天帝は、七夕の夜に限って二人が再会することを許しました。
 こうして二人は、天帝の命を受けたカササギの翼にのって天の川を渡り、年に一度の逢(おう)瀬(せ)をするようになったのです。これが、七夕の星物語です。


           「努力は結果として現れる」 (PDFを参照)

 次に、サッカー界の神様と言われている「ジーコ」さんの話です。ジーコとは愛称で、本当の名前は、アルトゥール・アントゥネス・コインブラです。
 私は、大学卒業後に教員となり栃木に戻りました。自分の特技を生かし、栃木教員サッカークラブ(J2栃木SCの前身)でプレーしていました。同時に栃木県国体選抜チームでもプレーしていた時、JSLに所属していた住友金属との練習試合にブラジルから来た選手がジーコでした。それがジーコとの出会いでした。そして監督となり、研修会の講話でジーコから「トップアスリートほど、基礎・基本を大切にして努力していくことが重要である。」と聞き、最後に「努力は結果として現れる」と言葉を残されました。その言葉が印象的で、自身の座右の銘としました。ぜひ皆さんも、自分が生きていく上で大切にしていける言葉を探してください。また、学習も基礎・基本が大切です。毎日こつこつと根気強く学習する習慣を身に付けてください。

 

7月講話資料.pdf

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6月講話

                      『時の記念日』

 5月の講話では春季大会で「個人、チームの足りないもの・課題は何か」を探してもらいたいと話しました。皆さん、課題が見つかりましたか? また、吹奏楽部の皆さん、いま自分が担当している楽器を、しっかり奏でることができていますか? いよいよ7月には、郡市総合体育大会各種大会、吹奏楽コンクール等があります。3年生にとっては最後の大会になります。残り少ない活動の中で、個人・チームの課題を克服し大会・コンクールに臨んでもらいたいと思います。

 今日は、初めに皆さんにクイズを出します。「世界中の人々が、だれでも毎日、毎日、同じ量だけ使っているものは何でしょうか・・・・・?」
その答えは、私たちの目には見えないもの、実は「時間」です。 確かに、時間は私たちにとって、みんな同じだけ平等に与えられているものです。私にとっての1日、皆さんにとっての1日、先生方にとっての1日も、みんな24時間です。神様に自分だけ25時間にしてくれと頼んだとしても、絶対に無理なことですよね。「時間」は間違いなく平等に与えられているものです。
 それでは、その「時間」というものを、いったいどのように使っていけばいいのでしょうか。これが簡単なようで、実はなかなか難しいものです。
 たとえば、朝会であいさつをしなければいけない私が3分遅れてしまい、皆さんはじっとその場で待つことになり、3分無駄になってしまいました。
 この無駄になった3分を再び取り戻すことは出来ません。ドラえもんだったら自由自在にタイムマシンを使って、過去に戻ることは出来ますが・・・。
 昔から時間を上手に使った人はたくさんいます。たとえば、伝記の本に出てくるような立派な仕事をした人々や有名なスポーツ選手たちの中にも、自分の時間を大切にし、上手に使っている人がたくさんいます。ぜひ、学校の図書室でどんな人がいるか調べてみてください。
 時間を有効に使うために、皆さん一人ひとりが日頃から30分でも1分でも「時間を大切にすること」を意識して生活を送ることが大事です。
 学校には日課表があり、時間が区切られています。
  朝7時55分のチャイムを自分の教室で聞けてますか?
  8時のチャイムで着席できていますか?
  授業の始まりのチャイムで着席できていますか?
 このような学校生活で約束された時間をしっかり守るという心を育ててほしいと思います。そして、チャイムでなく時計を見て行動が取れる生徒になってください。
 明日、6月10日は「時の記念日」です。私たち一人ひとりに、同じ量だけ等しく与えられている時間の使い方について、今後じっくり考えてみてください。

 最後に、毎月1回このように校長講話があります。これから講和後、皆さんからアンケートを採っていかせてもらいます。これは先生の振り返りでもあり、評価でもあります。講話を通して皆さんに話した内容が伝わっているかを知るためのものです。ぜひ、皆さんの意見等を聞かせてください。

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5月講話

                 『部活動への期待!』 『SDGsとは?』

 今日の全校朝会では、皆さんに2つのことを話します。
 1つめは、今週金曜日から行われる郡市春季各種大会のことです。昨年度は、春季・総体・新人大会と全部が中止となり、残念な思いをした年ではなかったでしょうか。野球部、サッカー部、バレー部、卓球部の皆さん、金曜日からの試合では、ぜひ強い気持ちで試合に臨み、チーム・個人の目標を達成してほしいと思います。また、吹奏楽部の皆さんは学校に残りますが、夏のコンクールに向けて毎日の練習に励んでください。
 さて、皆さんに問います。「試合って何でするんですか・・・?」「優勝するため」「勝って喜びを分かち合うため」など考えれば、もっとたくさんあるかと思います。
 私は、この問いに対し「トレーニング(練習)をするため」と答えます。私は31年間、中学生にサッカーを指導してきました。その間、現在J2の栃木SCが日本フットボールリーグに加盟した時から3年間、監督をしていました。監督になる前のコーチ時代に、日本サッカー協会の指導者A級ライセンスを受講した時に「MーTーMメゾット」という理論、実践の講習がありました。簡単に言うと、Mはマッチ(試合)ーTはトレーニング(練習)ーMはマッチ(試合)を指す言葉で、試合をしてチーム・個人に足りないもの課題は何かを分析し、練習で改善点を確認・修正して、修正したことが次の試合で生かせたか、そしてまた新たな課題を見付けることです。これを何度も繰り返すことで、チーム・個人の成長につながるという理論です。これはサッカーだけでなく、学習はもとより人生設計においても重要なシステムだと思います。
 冒頭で言った「チーム・個人の目標を達成してほしい」とは、この春季大会でチーム、個人の足りないもの・課題は何かを探してもらいたいということです。

 2つ目は、「物中SDGs」についてです。本日の4校時の全校総合の時間に、髙田先生から説明があります。進め方については4校時の全体総合でしっかり話を聞いてください。
 今、世界では宗教や民族の対立等が絶えず戦争や紛争、気候変動や生物多様性の喪失、海洋問題など顕在化する環境問題、台風・大雨、地震・津波とこれらの自然災害により、私たちは今、脅威にさらされているのが現状です。
 世界を変えるための17の目標(持続可能な開発目標SDGs)ができる以前は、「ミレニアム開発目標(MDGs)」といい、貧困・食料・健康と福祉・教育・ジェンダー平等・水とトイレの6つの目標が掲げられ、とくに発展途上国向けの目標からスタートしました。
 しかし、時を追うごとに地球的、地域的なレベルで人類の生存を脅かす環境問題や経済、社会面での諸課題の原因及び影響が、途上国のみならず先進国とも関わりが深いことから世界全体が協働して克服すべきものとの認識が共有され、先進国にも関わりの深い11の新たな目標(エネルギー、経済成長、産業と技術革新、不平等、まちづくり、持続可能な生産と消費、気候変動、海の豊かさ、陸の豊かさ、平和と公正、パートナーシップ)を加え、SDGsの誕生となりました。
 本年度の合い言葉「物中SDGs」宣言。サブテーマの「~世界の人々と同じ視野、考えを共有し、国際社会に貢献できる人を目指して~」の実現化を図るため、第1ステージとして「今、できること!」を、皆さん一人一人が、17の持続可能な開発目標の中から、自分が今できることで研究を深めていきたい内容を選択し、総合的な学習の時間や生徒会各種委員会等で、問題を解決するためにはどのような取組が必要であるか。各人が自らの問題として主体的に捉え、身近なところから取り組むことで、それらの問題の解決につながる新たな価値観や行動を身に付けられることと思います。
 それが本校の目指す生徒像「未来を切り拓く学力・人間力を身に付け、ふるさと物部に貢献できる生徒」につながることを願っています。私を含め先生方も一緒に学んで行きます。頑張りましょう。

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開校記念日講話

                      75回目の開校記念日
 今日は開校記念日に関わる話をします。28日水曜日に、本校は75回目の開校記念日を迎えます。28日が郡市春季陸上競技大会の予備日になっているため、本日、開校記念日について皆さんと一緒に振り返って見たいと思います。上級生は、何度か目にしたことと思いますが、薄れた記憶を呼び戻してください。

 物部中学校の開校記念日は4月28日です。それは物部中学校が、昭和22年、1947年、4月28日、学制改革により開校したからです。学制改革とは、戦後に行われた「六・三・三・四制」への改革のことで、それに合わせて、物部中学校が誕生しスタートしました。そのときの校名は、「物部村立物部中学校」です。

 創立2年後に新校舎が完成しましたが、今の校舎とは違う木造平屋建ての校舎でした。この写真は、創立6年後、昭和28年、1953年の校舎の様子です。場所は、今の物部中があるところと同じですが、周りの様子はかなり変わりましたね。

 この後は、物部中の歴史を年代順に振り返ってみたいと思います。前庭にある二宮尊徳像ですが、創立からわずか6年後の昭和28年、1953年、3月13日に建立されました。物部地区は二宮尊徳先生ゆかりの地であり、その教えは今でも地区内に息づいています。

 昭和29年、1954年、5月3日には、町制施行により二宮町が誕生し、校名も二宮町立物部中学校に変更となりました。当時の看板が放送室わきの職員玄関のところにありますので、ぜひ見てください。

 昭和30年、1955年、9月24日には、作詞・羽石五百里さん、作曲・鈴木満雄さんによって校歌が制定されました。

 昭和39年、1964年、9月24日には、校舎南側にフランス式庭園が完成しました。フランス式庭園は、左右対称になるように池や植栽を幾何学的に配置しているのが特徴です。有名な所で言うと、フランスのヴェルサイユ宮殿の庭園がこの手法の庭園で有名です。真岡市内の学校でこのような庭園を持っているところは、ほとんどありません。

 次に部活動での先輩方の活躍を振り返って見ましょう。昭和48年、1973年には、ソフトボール部が県大会で優勝しています。現在は、ソフトボール部はありませんが、プールのわきに当時使用していたバックネットやベンチがあります。そして、野球部。昭和52年、1977年に、北関東大会で優勝を飾ってます。野球部の皆さん、先輩方に負けないように、まずは県大会出場を目指して頑張りましょう。部活動については、この後また出てきますので期待してください。

 昭和53年、1978年、3月28日には、新校舎が完成します。色は多少違いますが、まさに、今、皆さんが使用している校舎ですね。左右対称のシンメトリー構造の鉄筋コンクリート3階建て校舎です。保護者の方の多くも、この校舎で学ばれたことと思います。

 校訓「まこと」「至誠・勤労・分度・推譲」が定められたのは、昭和59年、1984年、4月28日の開校記念日のことです。この校訓は、二宮尊徳先生の教えでもあり、とても大切な言葉です。みんなでこれからも取り組んでいきましょう。

 平成15年には、県駅伝競走大会で、女子が4位入賞を果たします。既に生徒数は、少なくなっていましたが、特設部として活躍してくれました。これは、物中生全員の力だと思います。明日、陸上競技大会があります。学校の代表として頑張ってきてください。

 そして、今から12年前の平成21年3月23日に真岡市と二宮町が合併したことにより、校名が今と同じ真岡市立物部中学校となりました。

 平成25年から26年にかけて、耐震化と外壁の工事が行われ、外観も今の校舎と同じになりました。

 平成27年には、バレーボール部が県総体で準優勝を飾り、見事関東大会出場を果たしました。部員わずか6名で戦い抜いたこと、一人でも欠けたら試合に出場できない中、精神力・責任感の強い生徒たちだったと思います。バレー部の皆さん、先輩に負けないように頑張りましょう。

 ここまで、物部中の歴史を簡単に振り返ってみました。もう少し詳しい内容を、年表の形でまとめ、校長室前に掲示してありますので、ぜひ見てください。
 今年で創立から75年目を迎えるにあたり、未来を切り拓く力(学力・人間力)を身に付け、ふるさと物部に貢献できる生徒を目指し、全校生徒91名、力を合わせて最高の物部中学校にしていきましょう。

 

 

開校記念日資料.pdf

 

 

 

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4月講話

           『今、できること(やるべきこと)!』

みなさん、おはようございます。今年度初めての全校朝会ですね。1学期がスタートして、2週間。皆さんはどんな2週間でしたか。
 始業式・入学式の学校行事、対面式・部活動紹介の生徒会行事に参加する皆さんの様子を見させていただきましたが、緊張感の中にも和やかさを感じる場面があり、皆さんが笑顔で一生懸命に様々な活動に取り組んでいることが確認できました。3年生は最上級生らしくリーダーシップを発揮して物部中をけん引して行こうとする姿、2年生は中堅学年として1年生のよき手本になろとする姿、そして1年生は先輩を見習いながら、あっという間に中学生らしくなってきましたね。これからの飛躍を予感させる行動に安心するとともに、大変うれしく思いました。
 5月11日(火)に、1学期の中間テストに変わる実力テスト、5月27日(木)に、全学年で学力調査があります。1年生は真岡市が、2年生は栃木県が、そして3年生は国が実施しているものです。将来、社会人になったときに必要な力は何か、大変役に立つ調査です。ぜひ、その結果で自分の弱点・補強するところなど学力を向上させるために『今、できること(やるべきこと)!』は何かを考えてください。これからの時代は、人工知能の進化など、変化の激しい予測困難な時代です。そこで頼りになるのは、「確かな学力」を身に付けることです。勉強は決して楽ではありませんが、自分自身のため、そしてよりよい未来社会を生き抜くために、取り組んで行きましょう。
 ここで91名がそろった初めての朝会なので、始業式・入学式で話した内容を整理したいと思います。
 始業式では、2.3年生の皆さんに2017年ダボス会議で17の目標を掲げ、「誰も置き去りにしない世界を目指して」世界各国の人々での取組、「SDGs」の話、入学式では、「リスペクトアザース」という英語の言葉を紹介しました。「自分以外の人やものを大切に思いましょう」と解きました。
 昨年度のスローガンは「物中進化 限界への挑戦!」でした。二宮尊徳先生の教えが息づく歴史と伝統のある物部中です。そして75歳を迎える今年、皆さんの先輩方のたゆまぬ努力によって、地域に誇れるすばらしい学校を、これ以上に発展させなければなりません。それには、91名が誰ひとりも置き去りなく、さらに物部中をよくしていくために、『今、できること(やるべきこと)!』は何か。そんな思いを込めて、「物中 SDGs」を生徒と先生方の合い言葉(スローガン)と考えています。皆さんが17の目標を一つ一つ理解していき、その中の一つでも実践できるものを見出すことが、これから社会に飛び出す皆さんは、世界の人々と同じ視野、考えを共有し合いながら、国際社会に貢献する人に成長していくと信じています。
 次に、「リスペクトアザース」ですが、相手(友達)を大切に思うことは、「SDGs」17の目標の中に当てはまる言葉かと思います。自分との違いに気づき、その人の立場に立って物事を考え、判断する能力を身に付けてほしいということです。先生は、皆さんと2・3年生は4月7日に、1年生は4月8日に出会いました。これから皆さん一人一人のことを理解しようと努力していきます。そして、皆さんがこの物部中で安心して学校生活を送れるよう、また、学習・部活動等で安全な環境で活動ができるよう先生方と協力して皆さんを見守っていきます。こういうことが、周囲の人を大切に思うことの一つかと思います。是非、この言葉「リスペクトアザース」を心にとめて学校生活を送ってください。
 この二つことを、今年度から新たに教育活動に組み入れていきたいと考えています。よろしくお願いします。
 最後にお願いです。始業式に新型コロナウイルス感染拡大の第4波の兆候と言いましたが、もはや第4波に入っているのが現状です。学校生活や部活動での対外試合等でのうがい・手洗い・消毒・換気・マスクの着用・ソーシャルディスタンス(フィジカルディスタンス)の徹底をお願いします。

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ありがとうございました

この度の定期異動で、真岡西中学校勤務を命ぜられ、物部中を離れることになりました。
2年間、明るく素直で元気いっぱいの生徒たちに囲まれ、また、保護者の皆様、地域の皆様から格別の御厚情を賜り、充実した日々を過ごすことができました。

学校だよりはもとより、学校ホームページに関しても、多くの方々に御覧いただき、心より感謝申し上げます。
様々な内容を発信して参りましたが、特に、学校経営理念である、「『地域貢献』『国際貢献』を合言葉に、二宮尊徳先生の教えが今なお息づくふるさと物部を愛し、夢を持って、広く国際社会で活躍できる生徒の育成」に関する内容を、数多く提供させていただきました。

校長として、至らない点が多々あり、十分な成果を上げることはできませんでしたが、本校を巣立っていく生徒の様子から、3年間の確かな成長と明日への希望を感じることができ、幸せでした。

勤務先は変わりますが、物部中学校のますますの御発展を、心よりお祈り申し上げます。 
2年という短い間ではありましたが、本当にお世話になりました。
ありがとうございました。

令和3年3月30日  校長  市村 政幸

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感謝の心

一昨日、令和2年度修業式を行いました。
代表の生徒に修了証書を授与し、1年生27名、2年生33名全員の修了と進級を認めました。

校長講話の主な内容は、以下のとおりです。


進級できたのは、保護者や地域の方々、先生方など、多くの方々が皆さんを支えがあったから。
そのことを自覚し、その方々に、是非「ありがとうございました。」という感謝の心を伝えてほしい。

感謝は人にだけでなく、教科書やノート、ユニフォームや部活動の用具、楽器など、自分を成長させてくれた人以外の物にもありがとうという気持ちを表すことが大切。

感謝の気持ちを持てるというのは、精神的に大人になった証拠。
自分は周囲から支えられている、有り難いなという感謝の心があって、はじめて人は、安心して次のステップへと進むことができる。
ぜひ感謝の気持ちを大切にしてください。

2年生は、4月から3年生。学校の顔であり、リーダーである。
学校生活の全てにおいて、その方向性や雰囲気を決定付けることになる。
まずは、理想の物部中を、一人一人が思い描くことが大切。
次に、物部中をよりよくしていくための具体的な方法について、話し合う。
方向性が決まれば、次は実行。固い決意を持って、必ずやり遂げてること。
皆さんの力で生まれ変わる、新しい物部中学校を楽しみにしている。

1年生は、4月から2年生になり後輩である新1年生を迎える。
新1年生は、3年生とともにまずは2年生を手本とします。
新1年生の質問に、自信を持って答えられるように、この1年間をじっくりと振り返ることが大切。
また、最上級生である3年生にとって、頼るべきは2年生である。
中堅学年として、3年生をしっかりとサポートし、物部中を支える存在になってほしい。


令和3年度こそ、コロナ禍が収束に向かい、物部中の生徒が伸び伸びと学校生活を送れることを祈念しています。

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感染再拡大の危機

新型コロナウイルスに関しては、順調に感染者が減っていた栃木県の状況が変わり、増加に転じています。
そのため、県は警戒度レベルが一つ上げ、県版ステージ2.5「厳重注意」にしました。
期間は、3月20日(土)~4月11日(日)までとなります。

特に、気を付けるべきこととして、「1都3県への不要不急の移動は避けること」や「マスクの着用、換気をはじめ、3密の回避や手洗いなど、基本的な感染防止対策の徹底」、「感染リスクが高まる『5つの場面』での注意」などがあります。

昨年も桜が咲くお花見の時期から感染者が急増し、学校も臨時休業にせざるを得ない状況となりました。
同じことを繰り返さないよう、本校としても緊張感を持って感染防止対策に取り組み、コロナ禍を一刻も早く収束させ、当たり前の日常、当たり前の学校生活を取り戻せるようにしたいと思います。

生徒の皆さんも、もうすぐ春休みですが、気を緩めることなく感染防止対策を徹底してください。
一人一人の心掛けが何よりも大切です。よろしくお願いします。

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東日本大震災から10年

昨日、3月16日(火)、全校朝会を実施しました。
感染防止対策として、しばらくの間、全校朝会を各教室で映像を視聴する形で実施していましたが、県の警戒度レベルも下がったことから、久しぶりに体育館で実施しました。

1・2年生の生徒全員から、朝の元気な挨拶をいただき、身が引き締まる思いがしました。
講話の内容は、以下の3点です。
・憧れの3年生(卒業生)を超えていけるよう頑張りましょう。
・新型コロナウイルス感染症については、引き続き緊張感をもって感染防止対策を徹底していきましょう。
・東日本大震災の教訓を忘れず、防災意識を高めていきましょう。
特に、東日本大震災については、1・2年生にとっては、3~4歳での体験であることから、その概略を以下のように具体例を挙げて話をしました。


・先週の3月11日は、東日本大震災からちょうど10年目に当たる、節目の日だった。
・本校では、国旗を半旗掲揚にして弔意を表すとともに、シェイクアウト訓練を行った。
・担任から東日本大震災の話を聞いたあと、地震発生時刻である14時46分から1分間の黙とうを行い、震災で亡くなられた方々の御冥福をお祈りした。
・東日本大震災は、地震の規模を表すマグニチュードは9.0~9.1という超巨大地震で、日本では観測史上最大、世界でも4番目ぐらいに大きな地震である。
・巨大津波の発生により、甚大な被害がもたらされた。
・津波は、最大で海岸から6kmの内陸まで達し、津波の高さは10m以上(最大16m)、最大遡上高40mを記録した。
・死者・行方不明者は2万2千人にも及び、10年が経過した今なお、4万人ほどが避難生活を送っている。
・巨大津波により、福島第1原発の1~5号機で全ての電源を喪失し、1~3号炉で炉心溶融(メルトダウン)が発生、それに伴い、大量の放射性物質が空気中に拡散し、原発周辺が立ち入り禁止区域となった。


2011年3月11日(金)14時46分、通称「3.11」。この未曾有の震災を経験した私たちは、亡くなられた方々を悼みつつ、防災について改めて考える必要があります。
次に、発生が予想されている巨大地震は、「南海トラフ地震」です。静岡県から宮崎県にかけての一部では、震度7の強い揺れが想定され、また、関東地方から九州地方にかけての太平洋沿岸の広い地域に10mを超える大津波の襲来が想定されています。

日本大震災から10年、「3.11」を決して風化させることなく、本校では命を守るための防災教育の充実を図って参ります。

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栄光の架け橋

本日、3月10日(水)、令和2年度卒業式を挙行しました。
コロナ禍により、規模を縮小しての実施となりましたが、式中の卒業生の態度は大変立派で、学校3年間の確かな成長と今後の大いなる飛躍への期待を感じさせてくれました。

式辞の中では、3年間のたくさんの活躍を振り返り、74年の長い物部中の歴史に輝かしい新たな一ページを刻んでくれたことについて、お礼を述べました。

また、はなむけに、第二次世界大戦のとき、ナチスの強制収容所に入れられたユダヤ人の中で、奇跡的に生き残ることができた精神科医のヴィクトール・フランクル氏の次の言葉を贈りました。

「どんなときも、人生には意味がある。」
「あなたを待っている『誰か」がいて、あなたを待っている『何か』がある。」
「そしてその「何か』や『誰か』のために あなたにもできることがある。」

コロナ禍の今だからこそ、逆境に屈することなく、希望を光を心に灯し、力強く前進してほしいという願いを込めて贈りました。

物部中を巣立ち、それぞれの道を歩む38名の卒業生の前途に、幸多からんことを心からお祈りいたします。


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啓蟄(けいちつ)

今日、3月5日(金)は、二十四節気の一つ「啓蟄(けいちつ)」です。
「啓」には「開く、開放する」などの意味があります。
「蟄」には、「冬ごもりのために、虫などが土中に隠れ閉じこもる」などの意味があります。
そのため「啓蟄」とは、「春の暖かさを感じて、冬ごもりしていた虫が外に這い出てくる頃」を示します。

この時期は、一雨降るごとに気温が上がり、日足も目に見えて長くなるなど、春が確実に近付いてきます。
もちろん、目を覚ますのは、虫たちだけではありません。
わらびやぜんまいなどの山菜やつくしなども、土から顔をのぞかせます。
同時に、私たち人間も心躍るような、わくわくした気持ちになります。

3年生は新たな旅立ちに向けて、1・2年生は進級と新しい物部中の創造に向けて、いよいよ本格的な始動のときです。
物中生の大いなる飛躍を期待しています。

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あえて怠けものを許す、アリの不思議な生態

先日、資料を整理していたらアリについての面白い話がありましたので、掲載します。


初夏の日差しの中、焼けつく地面を延々と列をつくり、エサを巣穴に運び入れるアリたちの姿は、勤勉という価値を具現したものに見えます。彼らの働き方は、太古から社会性生物として持続可能な集団生活のために進化し続け、たどり着いたものでもあります。

そんなアリたちはさぞかし働き者であると思われますが、実は、7割は働いていないということをご存知でしょうか。地表部分で懸命に働くアリたちの姿をみると、全体がフルに活動しているように見えますが、見えない部分で7割のアリたちは暇にしているというのです。そして、このアリたちの存在が、高度な社会的集団生活を成立させる肝であると言われています。

例えば、アリの中にも気まぐれで集団行動が苦手な個体がいます。そうしたアリは、仲間が出すフェロモンの道筋から迷い出てしまい、フラフラ彷徨っているように見えるときがあります。しかし、こうした行動が偶然にも新しいエサ(資源)の発見につながり、一躍英雄になることがあるそうです。

また、生まれてからの期間の差による分業を行い、子育てなどは若い個体が担当し、危険な仕事は寿命が短い個体が担当していると言われています。自然災害や天敵等によって巣穴が危機に直面したとき、決然と活動スイッチが入り、敵や災害に立ち向かう決死隊のように働くアリがいるということです。

このように、一見遊んでいたり、暇そうにしたりしているアリたちにも、役目がそれぞれ与えられています。ただ、その個体が生きているうちに、そうした反応を示す機会に出遭わないこともあるので、働かないように見えることがあるのでしょう。


アリたちの約7割が働いていないとは、知りませんでした。
気まぐれなアリや一見怠けてるように見えるアリによって、人間社会に匹敵する高度な集団生活を営むアリたちに、心から拍手を送りたいと思います。

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宇宙の深淵

一昨日、2月24日(水)に、全校朝会を実施しました。
私からは、「緊急事態宣言発令解除後の新型コロナウイルス防止対策の徹底」、「県理科研究展覧会最優秀賞受賞」、「宇宙の始まりと終わり」の3点を話しました。
話の中心である「宇宙の始まりと終わり」の要旨は以下のとおりです。


多くの数を表す言葉に「星の数ほど」という言葉があります。
では、この宇宙には、どれぐらいの星の数があるのでしょうか。
肉眼で見ることができる星は、約4000個です。

一般的な大きさの銀河には星が50兆個ぐらいあり、その銀河が宇宙には2兆個ぐらいあります。
宇宙全体の星の数は、地球上にある全ての砂の数よりはるかに多いと言われています。
ちょっと信じがたいですが、事実です。

では、この宇宙はどのように誕生したのでしょうか。最新の宇宙論の一つを紹介します。
宇宙は「完全な虚無の世界」である、マザーユニバースから誕生したと考えられています。
今から138億年前にマザーユニバースの一部が変形し、暗黒エネルギーが解放されて他の場に供給され、偶然宇宙が誕生しました。

大きさは、1000兆分の1mほどの大きさしかありませんでした。
その後、急激なスピードでインフレーションと呼ばれる膨張が起こり、その直後にあの有名なビッグバンが起きたとされています。
そして宇宙誕生の3分後から、現在の宇宙にある物質すべての性質を決める元素ができはじめ、その後何種類もの原子がつくられ、やがて星がきらめき銀河が渦巻く、広大な宇宙ができあがりました。

次は、宇宙に終わりはあるのかという問題です。ここでは、宇宙に存在する物質を考える必要があります。
星の原料など私たちの知っている物質は、宇宙の全ての物質のわずか5%ほどでしかなく、残り25%が暗黒物質、さらに残り70%が暗黒エネルギーだということが分かってきました。

様々な研究から宇宙は、このまま加速度的な膨張が続くと考えられています。すると最後はどうなるのか。
全ての恒星が燃え尽き、銀河が消滅し、全てが薄まり続ける宇宙の中で、最後に残ったブラックホールすらも蒸発し、広がりすぎたがゆえに何も起きない漆黒の闇、冷たい静寂の宇宙、「ビッグウィンパー」が訪れるとされています。

宇宙について、誕生から終焉まで駆け足で見てきました。
不確実な部分はありますが、長い長い宇宙の歴史からすれば、極めて短い歴史しか持たない人類が、宇宙の謎の解明までもう一歩のところまで来ていることが、すごいと思います。
まさに、人間の無限の可能性を感じます。

この宇宙の話のように、難しい数学や物理は分からなくても、科学を楽しむことは十分にできます。
科学技術の一層の進展が予想される21世紀、科学に振り回されることなく、楽しんでみてはいかがでしょうか。

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掃除をすると

校長室の前の廊下に、「凡事徹底」と書かれた表紙の日めくりカレンダーがあります。
発行は、「日本を美しくする会」です。
この会は、イエローハットの創業者、鍵山秀三郎氏が立ち上げたものです。
鍵山氏は、一代で同社を一部上場企業に育て上げましたが、同時に、よりよい社風の構築に向けて創業以来続けている「掃除」が世間の評判を呼び、後に掃除運動が会社内外に広がっていきました。

日めくりカレンダーの21日には、


-掃除をすると-
心が磨かれる
謙虚な人になれる
気づく人になれる
感動の心が育まれる
感謝の心が芽生える


と記されています。
本校では、無言清掃を推進しています。無言で清掃を行うことで、心を育てる教育です。
清掃の時間には、校内放送で「自分を磨き上げる20分。どれだけ無言で(意志を貫く力)、どれだけ見付けて(気づく力)、どれだけ人のために(気配りの力)、掃除ができるか。」とうい言葉が流れます。
「凡事徹底」を座右の銘とし、「掃除」による心の教育を推奨する、鍵山氏の言葉に通じる取組だと思います。

生徒たちが生きるこれからの時代は、将来の予測が困難な、変化の激しい時代になると言われています。
そのような状況は、往々にして人の心から余裕を奪い、「自分さえよければ」という風潮を生みがちです。
しかし、そのような厳しい時代だからこそ、感謝の気持ちを持って、謙虚に他人の役に立つことを行うことが大切だと思います。
本校では、今後も無言清掃を通した心の教育を推進して参ります。


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世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ

2012年6月、ブラジルのリオデジャネイロで、国連の「持続可能な開発会議」が開催されました。世界の首脳・閣僚が参加し、自然と調和した人間社会の発展や貧困問題などが話し合われましたが、演壇に立った南米のある大統領のスピーチが、世界中に感動を巻き起こしました。8分間の熱弁が終わると、静まり返っていた会場は沸き立ち、聴衆の拍手は鳴り止むことはなかったのです。

その人は、ウルグアイ第40代大統領ホセ・ムヒカ氏(85)です。ムヒカ氏は、この演説をきっかけに一躍時の人となり、質素な暮らしぶりでも注目されました。大統領公邸には住まず、首都郊外の古びた平屋に妻のルシア・トポランスキ上院議員と二人で暮らしています。古い愛車をみずから運転し、庶民と変わらない生活、気取らない生き方を貫いたことで、いつしか尊敬を込めて、「世界で一番貧しい大統領」と呼ばれるようになりました。2009年の選挙で当選し大統領となってからも、給与のほとんどを寄付していたことでも知られています。ムヒカ氏は、2015年に大統領の職を辞し、上院議員として活動していましたが、2020年10月20日に高齢と持病を理由に政界からの引退を表明しました。

数々の名言を残したムヒカ氏ですが、先人の教えに基づく、「貧乏な人とは、少ししか物を持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ。」という言葉は胸に刺さります。
くしくも、SDGs「持続可能な開発目標」が、2015年の国連で全会一致で採択されました。貧困や環境、ジェンダーなど、17の目標と169のターゲットがあり、2030年までの達成を目指すとされてます。
ムヒカ氏の2012年の演説は、正にこれを先取りしたものとなっています。

最近、ムヒカ氏の2012年の演説を絵本にした「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」を読んで、上記のようなことを考えました。
SDGs、持続可能な社会の実現に向けて、どのような取組が可能か、本校の生徒たちと一緒に考えていきたいと思います。

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おめでとう

本校の2名の3年生が共同で研究した理科研究の作品が、「第74回栃木県理科研究中央展覧会並びに発表会」で最優秀賞(県の1位!)に輝きました。
本校にとっては、平成10年度以来、22年ぶりの快挙となります。研究を行った、3年生の2人の生徒に心から拍手を送りたいと思います。おめでとうございます。

研究の題名は、「パスタの折れ方」です。
パスタに力を加えて折ると、2本ではなく3本以上に折れることがほとんどですが、その原因を様々な角度から追究し、パスタの折れ方の謎に迫りました。

例えば、パスタの長さや太さを変えて折ってみたり、左右を固定したパスタの中央におもりを吊り下げて折ってみたりしました。
また、折れる瞬間の様子をハイスピードカメラで撮影して、原因を探ったりもしています。
実験結果から新たな疑問が生まれ、方法を工夫してまたその謎に挑んでいく、ストーリー性のあるすばらしい研究だと思います。

県の審査員の先生からは、「普段、何気なく見過ごしてしまうことの中から疑問を見付け、パスタという身近な素材を用いて、根気強く研究を進めたことがすばらしい。」とお褒めの言葉をいただきました。

理科研究を行うと、物事を様々な角度から見る力や自由な発想力、論理的思考力などが育まれます。
これらの力は、人工知能の進化により大きな変化が予想される将来においても、大いに役立つはずです。
理科研究が物部中の新たな伝統となるよう、来年度に向けて、今の1・2年生の新たな挑戦を楽しみにしています。

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だいじょうぶだよ

先日、長谷川和夫先生作の絵本「だいじょうぶだよ ーぼくのおばあちゃんー」という絵本を読みました。
きっかけは、長谷川先生の著書である「ボクはやっと認知症のことがわかった」の中で紹介されていたからです。

医師である長谷川先生は、日本の認知症研究の先駆けであり、第一人者です。
患者が認知症かどうか判断する「長谷川式簡易知能評価スケール」の発案者としても有名です。

そんな長谷川先生は、自身が認知症を発症したことを公表し、当事者の目から見た認知症の実際を、講演や著書により広く世の中に発信しています。
それにより、同じ病気に苦しむ患者さんやその家族の方々は、たくさんの希望をもらっているものと思います。

「だいじょうぶだよ ーぼくのおばあちゃんー」は、認知症になったおばあちゃんとその家族の話ですが、長谷川先生の実体験がもとになっているようです。
認知症が進んだおばあちゃんが、家族での会話の席で、
「みなさん どなたですか? みなさんが だれか わからなくて…」
と言います。

それに対して、孫の小さな男の子が、
「おばあちゃん、おばあちゃんは ぼくの おばあちゃんだよ。おばあちゃんが わからなくても、
ぼくも ママも パパも おねちゃんも みーんな おばあちゃんのことを よーく しっているから だいじょうぶだよ。
しんぱいないよ、おばあちゃん!」
と声を掛けます。

それを聞いたおばあちゃんは、不安な気落ちが和らぎ、笑顔を取り戻すという内容です。
人生100年時代が到来しようとしている今、認知症の問題は避けては通れない問題です。
誰もが発症の可能性があります。
そのとき、この男の子のような声掛けが自然とできるような、そんな世の中であってほしいと思います。

物部中の目指す生徒像は、「ふるさと物部を愛し、心やさしく覇気のある生徒」です。
本校での取り組みが、誰もが安心して暮らせる、思いやりにあふれた世の中の実現に向けた一助になれば幸いです。

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あわてなさんな

谷川俊太郎さんの詩、「あわてなさんな」に心惹かれました。


「あわてなさんな」  谷川俊太郎

花をあげようと父親は云う
種子が欲しいんだと息子は呟く
翼をあげるわと母親は云う
空が要るんだと息子は目を伏せる

道を覚えろと父親が云う
地図は要らないと息子がいなす
夢を見ないでと母親が云う
目をさませよと息子がかみつく

不幸にしないでと母親は泣く
どうする気だと父親が叫ぶ
あわてなさんなと息子は笑う
父親の若い頃そっくりの笑顔で


私たちが子供を見るとき、どうしても大人の目線で見てしまいます。
そのため、失敗しないで最短距離で成功をつかめるように、先回りをしてあれこれ手伝いがちです。
でも、子供は、花(成功)をもらうより、種(可能性)をもらったほうが、うれしいのではないでしょうか。

種子を手間暇かけて世話をして、自らの手で芽吹かせ、花を咲かせる喜びを知る。
谷川さんの詩、「あわてなさんな」は、「子供の可能性を信じ、じっくり成長を待つ大切さ」を教えてくれてるような気がします。
ときには、ぐっとがまんも必要ですね。

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遠くをはかるもの

昨日、2月4日(木)、立志式を行いました。
新型コロナウイルス感染症による緊急事態宣言下での実施ということで、内容を大幅に変更し、感染症対策を十分に講じた上で、2年生とその保護者の方々のみでの行いました。
式中、「誓いのことば」を堂々と発表する生徒たちの姿から、14年間の確かな成長を感じるともに、今後の更なる飛躍に期待が膨らみました。
私の式辞では、物部地区とも縁の深い二宮尊徳先生の言葉を贈りました。


遠くをはかる者は富み 近くをはかる者は貧す
それ遠くをはかる者は百年のために杉苗を植う
まして春まきて秋実る物においてをや
故に富有なり
近くをはかる者は春植えて秋実る物をも尚遠しとして植えず
唯眼前の利に迷うてまかずして取り
植えずして刈り取る事のみ眼につく
故に貧窮す


意味は、「将来を考える人は裕福になり、目先のことを考える人は貧しくなる。将来を考える人は、百年のために杉の苗を植える。もちろん、秋実るものを考えて春、種をまく。だから豊かになるのだ。しかし、目先のことばかり考える人は、春植えて秋に実るなど遅すぎるとして植えない。目の前の利益に迷って、何も植えようとしないで刈り取るばかりだ。だから貧しくなるのだ。」となります。

御存知のこととは思いますが、二宮尊徳先生は、江戸時代後期の農政家、思想家です。現在の神奈川県小田原市に農家の長男として生まれ、自らの努力で逆境を切り拓くとともに、惜しみなく農民を指導し、報徳仕法により桜町領をはじめ多くの農村を復興させました。

二宮尊徳先生の言葉を胸に、立志を迎えた2年生の皆さんが、ゲームやSNSなどの身近な誘惑に惑わされ「近くをはかる者」になることなく、「遠くをはかる」熱い思いを大切にして、夢の実現に向けて、積小為大の精神で一歩一歩前進していくことを期待しています。

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しもつかれ

「しもつかれ:神社に供え、近所で分け合う、昔ながらの伝統食」

今日、2月3日(水)の給食に、栃木県の郷土料理である「しもつかれ」が出ました。伝統的な「しもつかれ」は、割とくせのある味ですが、給食では、小中学生にも食べやすいように、かなり工夫されています。
私が子供の頃は当たり前のように2月の初午の日に食卓に並びましたが、今頃はどうなのでしょうか。そういう我が家でも20年ほど見ていません。

「しもつかれ」は初午(はつうま:2月最初の午の日)に、わらをたばねて作った「わらづと」に入れて、赤飯といっしょに稲荷神社にそなえる行事食です。「しもつかれ」という名前の由来には下野(しもつけ:栃木県)だけで作るからという説と、酢むつかり(いった大豆に酢をかけた料理)からきたという説があります。「七軒の家のしもつかれを食べると病気にならない」といわれ、近所の人たちと分け合って食べることが多い郷土料理です。
「しもつかれ」に使うダイコンやニンジンは「鬼おろし」という竹でできた目のあらいおろし器を使います。材料を大きく削ることができるので水分がでにくく、野菜の風味を残すことができます。それぞれの家に昔から受けつがれてきた作り方があり、同じ「しもつかれ」でも、家庭によってずいぶん味がちがうようです。

時代の流れとともに郷土料理が家庭から姿を消しつつある中、学校給食で「しもつかれ」が出ることは本当に有り難いことだと思います。
食べるだけでその当時の記憶がよみがえってくる、そんな郷土料理はこれからも継承していきたいものです。

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