日誌

田上教育長日誌

若い教職員を育てる機運を高めていただきたい

 3月25日(木)に県教委から、令和3年度小中学校教職員の人事異動が発表されました。今回の人事異動で特徴的なのは、芳賀地区の新規採用教職員が、過去10年間で最も多い62名(小学校30名、中学校25名、養護教諭4名、事務職員3名)となったことです。しかも、この中で大学や大学院の新卒者が33名と多く、特に小学校では30名のうち20名が新卒者です。
    新規採用教職員は過去3年間を見ても、平成30年度は28名でしたが、令和元年度40名、令和2年度59名と年々増加しています。これはご承知の通り、芳賀地区では今が教職員の大量退職・大量採用の真っ只中にあるからです。10年前、教職員の約半数が50歳代で、新卒者などほとんどいなかった学校と比べると、若い教職員が増えて大分様変わりしました。こういった傾向はまだしばらくの間続くものと思われます。
    先月、芳賀教育事務所から配布された『これからの芳賀の教育を考える -管理面から見える現状と見通し-』(令和3年2月)によりますと、芳賀地区の教職員の年齢構成は、40歳前後が少ない「ふたこぶラクダ型」のグラフになっています。現在はまだ50歳代が約40%を占めていますから、これらの退職に伴い若い教職員が増えることになります。そして、53歳の教職員の定年退職が近付くにつれ、一気に若返りが進み、定年延長がないと仮定すると、学校運営の主体は若い教職員中心となると予想しています。
    若い教職員が増えると、学校に新しい風が入り、切磋琢磨して学校全体が活気付くことが期待できる一方、経験不足による授業づくりや学級づくり、子供との関わりや保護者対応等での課題も指摘されています。若い教職員がこれらの課題を克服し、近い将来学校の主力となるには、もちろん自らの研鑽が不可欠ですが、併せて「育てる」ことも重要です。
    本市では4年前から、若手教員を育てるために教職2~4年目教員支援事業を実施しています。この事業は、教職4年目までに教師としての「イロハ」である、学習指導、学級経営、児童・生徒指導を確実に身に付けさせることを目的にしています。また、指導主事ができるだけ身近で若手教員の成長を支えるために、担任制を取っています。
    学校ではこの事業を積極的に活用して頂くとともに、若い教職員を育てるという気運を一層高めて頂きたいと思います。特に新規採用教職員は、初任校での仕事や同僚、管理職、学校風土等に影響を受けやすく、そこでの経験が将来を左右するといっても過言ではありません。従いまして、これからの若い教職員を育てることは学校の責務であって、全校体制で取り組んで頂きたいと思います。

立志式を迎えた皆さんへ

   本市では、立志を迎えた皆さんを市全体で祝福するために、市内9中学校で一斉に立志式を行っています。今年は新型コロナウイルス感染防止のため、教育委員会や来賓の出席はありませんでしたが、改めて、教育長としてお祝いのことばを申し上げます。
 立志を迎えた中学2年生の皆さん、そして保護者の皆様、おめでとうございます。
 立志式とは、武士の社会で行われていた「元服」の儀にちなんで、14歳になったことを祝う式のことです。元服とは、奈良時代以降、成人を示すものとして行われる儀式のことで、通過儀礼の一つになっていました。つまり、この時代では、14歳になると大人の仲間入りをしたということになります。現代では20歳に行われる成人式が大人の仲間入りをする儀式ですから、「立志」とは文字通り「志を立てる」ことであり、この時期に立志を迎える意義は大きいのです。
 と言いますのは、14歳という時期は、3年生への進級を控え、自分の進路や生き方について、これまでを振り返り、これからどのように生きるか、新たに誓いを立てることが必要な、節目となる時期だからです。ですから皆さんは、それぞれが立志の誓いとして、将来の夢や希望を真剣に考えて「誓いのことば」等に表したことと思います。そして、式では堂々と発表されたと思います。
 元東京大学の総長で、政治学者であった南原繁(なんばら しげる)氏は、「夢や理想は単なる抽象的な概念ではない。必ず実現の力となって働くものだ」と言っています。つまり、夢や理想を持つこと自体に意味があって、それは実現の原動力となるからだと言っているのです。
 皆さんが生きるこれからの21世紀は、一層情報化やグローバル化が進むと思われます。
変化の激しい、先行き不透明な時代とも言われています。そのような中だからこそ、大きな夢をもち、高い理想を掲げ、その実現のために強い意志をもってやりぬいていただきたいと思います。意志あるところに道は開けます。皆さんの輝かしい未来を祝福いたします。
 結びに、保護者の皆様に一言お願い申し上げます
 お子様は、14歳を迎え、思春期前期に入り、人生において最も多感な時期に差し掛かります。この時期は、自発性が高まり、自ら考え、判断し、目標に向かって努力できる時期でもあります。勉強や部活動に、「目標をもってがんばる」という、人生における基本を身に付けることが大切な時期になります。学校ではその基本を身に付けられるよう、勉強や部活動指導を行っております。保護者の皆様にも、一層の学校へのご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げ、お祝いの言葉といたします。

いじめのない学校風土をつくる

   昨年度の少年の主張芳賀地区大会で、大内中の大塚雫華(しずは)さんは、「いじめのない社会へ」と題して、次のように発表をしています。

    私の学校では、全校生徒による「いじめ防止サミット」を行っています。自分たちの行動を振り返り、いじめを撲滅し、明るい学校にする。そのために、クラスや学校全体でいじめについて話し合い、いじめ撲滅宣言を作成しました。いじめの理不尽さを知り、いじめについて深く考えることができて良かったと思います。 「いじめ防止サミット」を行う前は、誰かの陰口などをよく聞きましたが、サミットの後は、あまり聞かなくなりました。

    校内いじめ防止サミットは、いじめのない学校を目指して、子供たち自らが考え、力を合わせていじめ防止に取り組む活動です。いじめは子供の中で起きていますから、早期発見や防止には、子供たちのいじめに対する感覚を磨き、意識を高めることが何よりも大切です。校内いじめ防止サミットはそのための活動であり、子供たちが日常的にいじめ防止に取り組む態勢をつくることができます。
 この活動は、平成29年度・30年度に山前中学校が県教委指定の人権教育研究校となったことを機に、その取組の一環として始めたものです。その後、各学校でも取り組んでいただいておりますが、昨年度の大塚さんの発表はその成果の表れと大変嬉しく思いました。
   いじめは軽微なものを含めると、ほとんどの学校で起きています。しかも、年々増加の傾向にあります。

    昨年10月に発表された文部科学省の問題行動調査では、全国の国公私立小中高校と特別支援学校で令和元年度に認知されたいじめは61万件を超え、過去最多を更新しました。本県でも24%増の6003件と過去10年間で最多となっています。これは、学校がいじめを見逃さないよう細心の注意を払っている結果と言えます。問題は、平成28年度に90%を超えていたいじめの解消率が82%に低下していることです。いじめは見えにくく、加害者と言われても悪意や自覚がないことがあります。また、いじめは複雑で、加害者と被害者が逆転することもあり、対応が難しくなっていることがこの数値に表れています。
    ひとたびいじめが起きると解決に苦慮するケースが増えています。ですから、いじめが起きないことがベストであって、そういう学校風土をつくらなければなりません。再度言いますが、いじめは子供の中で起きていますから、それは教職員だけでは難しく、子供の力が必要です。そのためには、校内いじめ防止サミットなど全校体制の取組が一層充実することを期待しております。

感染防止の徹底と教育の質の保障

 新年明けましておめでとうございます。令和3年がスタートしました。2021
 今年は丑(うし)年です。「丑」という漢字は、発芽直前の曲がった芽が硬い殻を破ろうとし、エネルギーが漲っている状態を表しているそうです。丑年にあやかり、コロナ禍で硬く覆われた閉塞感を打ち破るような、エネルギッシュな年になることを切に願っております。
   それにしても、昨年の11月から始まった新型コロナウイルス感染拡大の第3波は、年が明けても全く収束の見通しが立たない状況にあります。それどころか、年末年始の人の往来等により、更なる感染の拡大も危惧されています。
 そこで今年やるべきことは、何と言っても「感染防止の徹底と教育の質の保障」が最優先となります。

    昨年は4月から小学校で新学習指導要領が全面実施されたにもかかわらず、新型コロナウイルス感染症の影響で、臨時休校や分散登校、感染防止や身体的距離の確保のため、カリキュラムを大幅に変更しなければなりませんでした。そのため、新学習指導要領の趣旨を十分に反映させた教育活動が出来ませんでした。4月からは中学校でも新学習指導要領が全面実施となります。

   ご承知の通り、新学習指導要領では、これからの21世紀を生きる子供たちに生きて働く力を身に付けさせるために、社会との連携や協働による「社会に開かれた教育課程」を実現し、「主体的・対話的で深い学び」による授業改善が求められています。今回の学習指導要領は、従来までの内容重視から、「学んだことから何が身に付き、何ができるようになったか」を特に重視するようになりました。今年こそは、こういった新学習指導要領の趣旨を踏まえた教育活動を確実に実施し、教育の質を保障しなければなりません。そのためには感染防止の徹底が不可欠です。
   残念ながら昨年は、感染拡大の猛威に晒され、市内の学校でも感染者が出てしまいました。しかし幸いにも、校内での感染者はなく、当該学校の感染防止が徹底していたことが示されました。これは他の学校でも同じです。これまで市内全ての学校で、検温やマスクの着用、うがい、手洗い、手指消毒、換気等の感染防止の徹底に努めて頂いた結果、校内での感染を防ぐことができたものと思っています。これは大変すばらしいことです。
 今年もいつまでコロナ禍が続くか分かりませんが、昨年同様に感染防止の徹底をお願いします。そして、新学習指導要領の全面実施に相応しい教育の質を高めていって頂きたいと思います。
 令和3年の年頭に当たり、「感染防止の徹底と教育の質の保障」を各学校でも共有して頂き、学校と市教委が一体となってコロナ禍の教育の充実を図っていきたいと思います。

今こそ凡事徹底を!

 小さな記事だったのですが、10月26日(月)の下野新聞の「新型コロナミニ知識」という欄に、京都府立医科大学の研究チームが、新型コロナウイルスは人の皮膚の上で9時間生存できることを突き止め、アメリカ感染症学会誌に発表したという記事がありました。
  9時間も生存できるということは、インフルエンザウイルスに比べて5倍も長く生存することになるそうです。これによって、新型コロナウイルスは触れた物を介して広がる「接触感染」のリスクが高いことが明らかになりました。但し、濃度80%のアルコールで15秒消毒すると感染力が消滅することも同時に分かりました。研究チームの広瀬亮平准教授は、「新型コロナウイルスが比較的長生きな理由はまだ分からないが、手の消毒という初歩的な対策の重要さが改めて分かった」と話されているとのことです。
  新型コロナウイルス感染症は世界に広がり、12月19日(土)現在で、感染者は累計で7495万人を超え、死者は166万人を上回っています。日本でも感染者数が連日最多を更新するなど、ウイルスの猛威はとどまる所を知らず、感染は加速しているようです。目に見えないウイルスの恐怖に晒され、世界は萎縮しつつあります。

 しかし、その脅威のウイルスも、飛沫感染にはマスクが有効なことはAIのシミュレーションでわかっていますし、今回の京都府立医科大学の研究で接触感染にはアルコール消毒が有効なことがわかったことから、初歩的な対策の徹底で防げるということになります。
 改めて、「凡事徹底」が感染防止の王道といえます。ただ、「徹底」は容易ではなく、言うと行うとは別物になってしまいがちです。

ですから、今回はそうならないよう、誰もが新型コロナウイルス感染防止のため、マスク着用やアルコール消毒等の凡事を徹底していただきたいと思います。

「今が最強!」と言えるように

 偶然なのですが、退職校長会会報第114号(平成30年10月4日)の「今が最強」というタイトルの寄稿文に目が留まりました。それは、元佐野市立天明小学校長の西沢弘先生という方が書かれたものだったのですが、恐らく、瞬時に「退職したのになぜ最強?」という意識が私に働いたからだと思います。
 「公立学校退職後、縁あって私立の中等学校で理科・化学の指導に当たらせてもらっている。種々の要因があり、個人的には理科教員として今が最強である」という書き出しで始まっているその文面には、理科の教員としてのやり甲斐や教えることの楽しさが綴られ、退職後の新たな教師生活での高揚感や喜びが満面に感じられました。
  では、いったいどうして最強なのでしょうか。西沢先生は「種々の要因がある」と言っている中で、第一にICT機器やデジタル教材を挙げ、次のように書いています。

 第一要因は、電子黒板等のICT機器やデジタル教材の進展である。受精卵の卵割など最先端の画像、気象衛星ひまわりの画像は昨日大雨を降らせた雲の動きを、地球全体を捉えた冬至・春分・夏至の画像から地軸の傾きを直接見ることができる。素材選択の幅が広がりこんなに面白いことはない。

 電子黒板等のICT機器やデジタル教材は、使えば使うほどその有用さが実感でき、授業が抜本的に変わってきます。アナログでは到底不可能だったことをデジタルは可能にします。特に理科の授業で、鮮明な画像による動的世界を子供たちに提供できることは、西沢先生にとって至極の喜びだったのでしょう。 
 また、教材研究については次のように書かれていて、理科教員の本分が垣間見えます。

 教材研究に集中して膨大な時間が使えること。調べれば調べるほど疑問が湧き、その疑問が次の疑問に。もう、ワクワクである。

 僭越ですが、読んでいて「やっぱり教師なんだなー!」と痛感した次第です。
 ICTという最強の武器を得て、教材研究に没頭できる時間が十分あって、最高の授業づくりができる今が、西沢先生にとっては最強なんですね。
   現役ではなかなかこうはいかないかと思いますが、ICTという最強の武器はあります。要は時間ですが、時間は与えられるものではなく、自らつくるもの、です。
 本市の先生方誰もが、「今が最強!」と言える充実した教師生活を送れることを期待しております。

「学びの保障」を実現しなければならない

 2学期がスタートして1か月が過ぎました。令和2年度の学校から見れば、6月に学校が再開され、16日間の夏休みを除けば、学校の教育活動は実質3か月間行われたことになります。学校の臨時休業により、子供がいない学校が3か月も続いたことを思えば、この3か月間は、当たり前のことではありますが、学校は「子供のためにある」ということを実感したのではないでしょうか。そして、学校のあらゆる教育活動も子供のためにあることが再認識できたと思います。
 そこで、これからが重要な時期になります。と言いますのは、これまでの3か月間では、授業をはじめ学校行事等の教育活動が見直され、少しずつ軌道修正しながら進められてきました。そして3か月経った現在に至っては、どこの学校でも日常を取り戻し、教育活動も軌道に乗り始めていることと思います。
 この3か月間では、未履修の学習内容は時間を確保して補充したり、系統的な教科は関連する単元の前に指導したりして、未履修の解消を図ってきました。また、授業においては、子供たちの学びを保障するために、教科書の学習内容の扱いに軽重を付けたり、指導順序を変更したり、個人でも学習可能な内容の一部を家庭学習等の授業以外で行うようにしたりして、学習の重点化を図って進めています。
 とはいえ、これまでの3か月間は、何かと制限がある中で学習の遅れを取り戻すために心血が注がれた授業でした。これは致し方ないことであって、子供たちもそれは理解し、懸命に授業に臨んでいたと思います。
  このようなこれまでの状況を踏まえると、いよいよこれからが本番で、子供たちの「学びの保障」を実現していかなければなりません。国においても、「学校・子供応援サポーター人材バンク」を開設して学校支援員を配置したり、補習等のための指導員等派遣事業により学習指導員を配置したりして、学びを保障するための人的支援を行っています。これらは今後順次配置されますので、有効活用するとともに、特に次の3点を重視してこれからの学習指導の充実を図って頂きたいと思います。
 1点目は、小学校では今年度から新学習指導要領が全面実施となっていますが、小・中ともに、なるべく出来る範囲で新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業を行ってください。
 2点目は、受験生の不安を払拭するため、中学3年生対象の補習授業を積極的に行ってください。文部科学省が公表した中学3年生のスケジュール案にも週2回の補習授業が示されていますので、実施は不可欠と考えています。 
 3点目は、学習の遅れや学力の差が懸念されますので、学習指導員等を活用し、これまで以上に個別指導の充実を図ってください。

お盆明けだからこそ注意が必要~新型コロナウイルス感染症対策

   8月1日(土)からの短い夏休みも終了し、今日から2学期がスタートしました。今年はいつもの2学期とは異なり、熱中症対策に加えて新型コロナウイルス感染症対策で、学校は細心の注意を払って対応していることと思います。
 幸いにも、これまで本市の小・中学校では、熱中症も新型コロナウイルス感染症も学校から出ていませんでした。しかし、新型コロナウイルス感染症については、本市で連日感染者が確認され、8月14日(金)には本市独自の感染厳重注意報が出される状況にあっては、今後それは難しいかもしれません。特に、夏休み中に迎えたお盆では、外出等を控える傾向はあったものの、人の移動も多く、県外から帰省した家族等で会食や会合が行われたものと思われます。
 お盆の帰省については、県では体調が悪い場合は帰省を控えること、高齢者等がいる家庭では十分配慮すること、大人数での宴会や飲み会は控えることを呼びかけましたが、県境をまたぐ移動の自粛は要請しませんでした。県では、お盆の帰省自体は否定せず、感染防止に十分な配慮を求めたものでした。
 しかしながら、各家庭の受け止めや感染防止対策に差が出てしまうのは当然であり、それはやむを得ないことです。恐らく多くの家庭で、日常と違った人の往来があったことは間違いありません。そうなりますと、お盆明けはこれまで以上に感染拡大が懸念されることになります。となれば、学校は感染防止はもちろんのこと、感染者が出た場合であっても迅速に対応できるよう、次の3点を徹底するなど一層緊張感をもって臨む必要があります。
 1点目は、学校にウイルスを入れない水際対策が極めて重要になります。そのため、子供一人一人の家庭での検温の徹底を再度呼びかけるとともに、サーマルカメラによる検温とその後の適切な対応をお願いします。
 2点目として、これまで同様、うがい、手洗い、手指消毒、熱中症に注意しながらのマスク着用、教室換気、手すりやドアノブの消毒等による感染防止をお願いします。特に、学校におけるクラスターの発生が最も危惧されますので、こういった基本的な感染防止を徹底することが何よりも大切です。
 3点目として、8月6日(木)の臨時校長会での資料により、感染者が出た場合の学校の対応について、教職員と共有化を図っていただき、教職員誰もが共通認識のもとに、迅速に対応できるようお願いします。
  2学期が始まり忙しい中ではありますが、学校と市教委が一丸となってこの難局を乗り越えなければなりませんので、よろしくお願いします。

今こそカリキュラム・マネジメントが必要とされます

 学校が再開されたとはいえ、新型コロナウイルスの感染拡大のリスクがなくなったわけではありません。そのため学校では、教育活動における「3密」を可能な限り避ける工夫をするとともに、検温、マスク着用、うがい、手洗い、アルコール消毒等を徹底するなど、細心の注意を払って感染症対策を行っています。また、感染拡大の第2波、第3波も懸念されますので、不測の事態に備えて、今後どのように教育課程を見直し実施していったらよいか、難しい課題に直面しています。
 文部科学省では、休業期間が長期化し、標準授業時数を下回る地域も予想されることから、今年度在籍している最終学年以外の児童生徒に係る教育課程に関する特例的対応として、今年度指導を計画している内容について学年内に指導を終えることが難しい場合には、次学年又は次々学年に移して教育課程を編成してもよい旨の通知を出しています。(令和2年5月15日付2文科初第265号文部科学省初等中等教育局長通知)
 しかしながら本県においては、どの市町も6月1日(月)から学校再開が可能になったことから、今年度指導する内容については、年度をまたぐことなく当該年度内で指導するよう授業計画を立てることとしています。
 とは言っても、今回の臨時休校により時間がなくなったばかりではなく、感染拡大のリスクを考えて、学校で活動できる場所が制限されたり、活動の中での児童生徒の関わりが制限されたりと、これまでのような教育活動ができない状況にあります。こういった中で、児童生徒の学校生活の質を維持しつつ学びを保障するためには、必要な授業時数を確保するとともに、教育活動を見直し重点化を図ることが不可欠となってきます。
 特に今年度は、小学校で新学習指導要領が全面実施となっています。新学習指導要領に規定されている「何ができるようになるか」(育成を目指す資質・能力)を意識した上で、「何を学ぶか」(指導すべき内容)を明確化し、今般の事態を受けた様々な環境変化を踏まえて「どのように学ぶか」(指導方法)を柔軟に見直すことが求められています。限られた時間と環境の中で、効率的・効果的な教育活動を展開し成果を上げなければなりません。したがって、これからは各学校のカリキュラム・マネジメントが問われることになります。
 これまでも、カリキュラム・マネジメントの重要性は言われてはいましたが、教育活動の中心である各教科のカリキュラムは教科書に基づき整備されており、マネジメントの余地はほとんどありませんでした。しかし今度は違います。教科学習の重点化が不可欠となっている今、教科書の学習内容の扱いに軽重を付けたり、指導順序を変更したり、個人でも学習可能な内容の一部を家庭学習等の授業以外で行うようにしたりして、児童生徒の学びを保障しなければなりません。これがまさにカリキュラム・マネジメントであって、校長先生のリーダーシップの下、各学校の先生方の教科経営力に期待しています。

子供たちに自己防衛意識を醸成する

 政府は5月14日(木)に、新型コロナウイルス特措法に基づき全国に発令していた緊急事態宣言を、一部の都道府県を除いて解除しました。これまでの自粛モードは一変し、まだ感染の脅威はあるものの、世間は少しずつ動き出しています。
 学校もすでに段階的に分散登校を実施するなど、学校再開に向けて準備が進められています。県立高校では学校再開を前倒しし、5月25日(月)からとしました。本市においても、5月13日(水)の臨時校長会や14日(木)の市PTA連絡協議会役員会を経て、本日から分散登校を開始しました。子供が学校に戻ってきたことは喜ばしいのですが、学校は至る所で「3密」の危険性を孕んでいますから、注意しなければなりません。
 福島大学の筒井雄二教授は、「子供は大人と違い、指示がなければ友達と密集してしまう。一層注意が必要である」と、学校に集まる子供たちへの目配りは欠かせないことを指摘しています。(5月15日付下野新聞)
 学校では、これら「3密」を可能な限り避ける工夫をするとともに、検温、マスク着用、うがい、手洗い、アルコール消毒、教室換気等を徹底することが大切です。
 と言いましても、感染リスクは学校だけにあるのではありません。教師の目が届かない学校外のリスクも、もちろんあります。ですから、こういった状況の中で子供たちを感染から守るには、自ら進んで感染予防に努めるようにすることが大切です。むしろ、これから先の子供たちのことを考えれば、子供たちに「自分のことは自分で守る」という、自己防衛意識を植え付けることが不可欠と考えます。
   かつて未曾有の災害をもたらした東日本大震災の時、岩手県釜石市の子供たちは「自分の命は自分で守る」という「津波てんでんこ」の教えで避難し、被害が最小限に抑えられました。後に「釜石の奇跡」と言われ、いかに子供たちの自己防衛意識が大切かを知らせれました。

 しかしながら、平時に自己防衛意識を醸成することは容易ではありません。このコロナ禍では誰もが疲弊し苦しんでいます。しかし、緊急事態宣言が解除され、新たなステージが動き出しています。「ピンチをチャンスに」というフレーズも耳にするようになってきました。学校も、これまで子供たちに身に付けることが難しかった「自分のことは自分で守る」という、自己防衛意識を醸成することができる絶好の機会と捉えることができます。そして、それが実現できれば、まさにピンチがチャンスになったことになるのではないでしょうか。そのためにも、子供たちが学校内外を問わず、正しい感染予防を実践できるように指導していかなければなりません。 

県内トップレベルの教育環境で県内トップレベルの学力を目指す

 新年明けましておめでとうございます。

 令和2年がスタートしました。今年は子(ね)年です。2020ねずみ十二支の最初ということもあり、全ての始まりと未来への可能性を秘めていると言われます。今年が皆さんにとりまして実り多い1年となるようご祈念申し上げます。
 さて、現在真岡市教育委員会では、まちづくりの基本戦略のひとつ「こどもの元気な成長プロジェクト」の5つの施策、学力の向上、ICT教育の推進、英語教育の充実、体力アップ、次世代リーダーの育成に積極的に取り組んでおります。
 特にICT教育については、市内小中学校全ての普通教室、特別支援教室、理科室に65インチのモニター一体型電子黒板を完備し、ICT導入モデル校の真岡東小と真岡西中をはじめ、全ての学校でこれらの機器を活用した授業づくりに取り組んでおります。また、タブレットやデジタル教科書も2月末までには全ての学校に配備しますので、学習環境が整います。さらに、教職員の事務処理の負担が軽減できるよう、統合型校務支援システムも3月末までには全校配備します。
 英語教育においては、各中学校にAET(外国人英語指導助手)を配置するとともに、小学校全ての英語の授業をAETまたはJTE(日本人英語活動支援員)とチーム・ティーチングで行うようにしています。また、小学校には英語専科教員や英語指導力向上専門員を派遣し、英語授業の充実を図っています。さらに、昨年小学校の各学級に英語の絵本を配布するなどして、英語に親しむ環境づくりに努めています。
 こういった学習環境の整備に加え、昨年、理科室や音楽室などの各学校の特別教室にエアコンを設置しました。これで学校では、普通教室、特別支援教室、特別教室と子供たちが授業を受ける全ての教室にエアコンが完備され、教室環境が整ったことになります。
 他にも、図書館司書の配置や本市独自の学力調査「真岡市総合学力調査」の実施など、本市の教育環境はほぼ整っており、全県的に見てもトップレベルの教育環境にあると言えます。それらを余すところなく活用し、一層の教育効果を上げることが本市教育の充実・発展には不可欠と考えております。とりわけ学力向上においては、子供たちの将来をも左右する重要事項であって、冒頭のまちづくりの基本戦略「こどもの元気な成長プロジェクト」の1番目の施策でもあります。
 そこで、年頭に当たり、「県内トップレベルの教育環境で県内トップレベルの学力を目指す」を合い言葉に、学校と市教委が一丸となって学力向上に取り組んで参りたいと思います。各学校ではこの言葉を共有し、「分かる・できる・定着する」指導をはじめ、これまで以上に学力向上の取組を充実させて頂きたいと思います

真岡西中学校創立30周年記念式典祝辞

10月25日(金)に真岡西中学校創立30周年記念式典が、東泉真岡西中学校PTA会長を実行委員長とする実行員会主催で開催されました。

式典開催の祝辞として次のように述べました。

                                                祝  辞

 本日は、真岡西中学校創立30周年記念式典が、かくも盛大に挙行させますこと、誠におめでとうございます。
 顧みますと、真岡西中学校が開校したのは平成2年4月です。時代は昭和から平成に変わり、バブル時代の好況期の中での開校でありました。
 当時、市内から臨む小高い丘の上に、瓦屋根を配した斬新で趣のある校舎と、丘の中腹に屹立する近代的な2階建ての体育館を配置した本校は、まさに「西輝が丘」の由来のとおり、西の丘に美しく光り輝き、大きな希望に満ちた学校であって、関係者の期待もことのほか大きかったことと思われます。
  そういった期待を一身に受け、本校は創立以来、「心身ともに健康で、誇り高い「西輝が丘」生徒の育成」を目指し、地域に根ざした特色ある教育活動を着実に展開してきました。そして、新たな歴史を刻み、連綿と伝統を受け継ぎ、国際交流をはじめとする各種行事や生徒会活動、部活動等において、輝かしい成果を収めてきました。
  中でも平成5年に始まりました台湾斗六市正心高級中学校との国際交流におきましては、昨年25周年を迎えられ、進展するグローバル化の時代にふさわしい、姉妹校相互交流という特色ある教育活動を確実に展開されておられます。
 また、昨年度と本年度は、本市が推進しておりますICT教育の導入モデル校として、電子黒板やタブレット、デジタル教材等の効果的な活用に積極的に取り組んでいただいております。
 これもひとえに、歴代の校長先生はじめ、教職員、保護者、地域、関係する皆様がたの並々ならぬ御尽力の賜物と、心より感謝申し上げます。
 さて、時代は平成から令和に変わりました。「令和」の元号は万葉集の序文「初春の令月にして、きよく風和らぎ・・・」という句からの引用で、「厳しい冬の寒さの後に見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる日本でありたい」という願いが込められているそうです。
  この「日本人」を「子供」に換えますと、「一人一人の子供が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる」ようにする営みは、教育に他なりません。ですから私たちは、この「令和」という元号に込められた願いを教育への期待と受け止め、日々の教育に取り組んでいかなければならないと思っております。
 真岡西中学校におかれましては、その令和の時代の幕開け、記念すべき元年に創立30周年を迎えられたことを契機として、より一層の充実した教育活動が展開されますことをご期待申し上げます。
 結びになりますが、真岡西中学校の益々のご発展と関係の皆様方の益々のご健勝を心より御祈念申し上げ、お祝いの言葉といたします。

                 令和元年10月25日

                                  真岡市教育委員会教育長 田上富男

「子供の助けを借りる」という発想の大切さ

 夏休みも後半に入りました。これまで各学校の適切な指導のお陰で、子供の命に関わるような交通事故や水難事故等もなく、無事夏休みが送れていますことに感謝申し上げます。
 さて、去る8月1日(木)に茨城県笠間市で、文部科学省主催「児童生徒の自殺予防に関する普及啓発協議会」が開催されました。協議会と言っても実際は、文部科学省の行政説明と九州産業大学の窪田由紀教授の講話・演習でした。私も、子供たちの尊い命を自殺から守れるならと思い、藁をも掴む思いで参加させていただきました。
 ほぼ1日の講話・演習でしたが、特に成果と言えば、「子供の助けを借りる」ということの重要性を再確認したことです。このように言いますと、「え!それだけですか」と言われてしまうかもしれませんが、実はこれは極めて大切なことです。つまり、子供のことは子供が一番よく知っていて、たとえ自殺であっても、必ずSOSのサインを周囲の子供には発信しているということです。ということは、自殺を未然に防ぐには、発信されたSOSのサインを、教師が周囲の子供からいかにキャッチするか、が決め手となります。そのための「子供の助けを借りる」ということであって、それは教師に求められる極めて重要な力と言えます。
 あと2週間で2学期が始まります。内閣府の2015年版自殺対策白書によりますと、子供の自殺が最も多いのは、2学期が始まる9月1日の前後であることが明らかになっています。これが発表になった後も、この時期になると毎年子供が自殺しており、不幸にも統計上の危機が現実となってしまっています。
 子供にとっての危機は至るところにあります。たとえ自殺であっても、決して対岸の火事ではなく身近に起こります。思春期の子供は、傷つきやすくガラス細工のような脆い一面を持っています。特に子供の深層心理は複雑で、大人には理解しがたいところがあります。だからこそ、教師はその兆候を見逃さず、適切に対応することが求められるのです。しかし残念ながら、子供がSOSを発信し続けていたにもかかわらず、それを察知できず、最悪の結果に至っていることがたびたび起きています。
 そうならないよう、子供のことは子供が一番よく知っているという認識に立ち、「子供の助けを借りる」という発想も必要です。
 明日では手遅れになる場合があります。なんらかのSOSを発信し、助けを待っている子供が目の前にいるかもしれません。教師は、そういった子供をいち早く発見し、適切な対応をしなければなりません。夏休み明けこそ、教師の力量が最大限に要求されますので、よろしくお願いします。

学校経営の勘所(芳賀郡市校長研修会講話概要)

研修会風景

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 7月12日(金)に真岡市青年女性会館で、芳賀郡市内の小中学校の校長先生を対象に学校経営研修会がありました。研修講師として90分の時間を頂き、「学校経営の勘所」と題して、次の6つのことについて話しました。

 勘所1  校長の仕事は職員を動かして子供を変えること
 勘所2  校長は職員への発信に神経を注がなければならない
 勘所3  人は指示や命令では動かない
 勘所4  学校経営の第1歩は距離感を縮めること
 勘所5  布石を打つ
 勘所6  校長と職員の危機意識は異なる
 これらは私自身が校長として実際に行ったことや経験したことの中で、是非とも校長先生方に伝えたかったことであって、学校経営に何かしらのお役に立つ内容と思っています。以下、その概要について順次説明します。
 
 勘所1 校長の仕事は職員を動かして子供を変えること
 私が新任校長として赴任した市貝中学校は、東日本大震災で甚大な被害を受け、校舎が使えず、隣町の廃校になった旧水沼小で生活するなど、かなり不便な生活を強いられました。学校にとって校舎が使えないことは想像以上に重大で、多くの困難がありましたが、私自身の校長としての学びもたくさんありました。その一つが勘所1で示したことです。
 部活動ができない、給食や電気がない、野ざらしの自転車置き場などの不便な生活も月日が経つにつれ徐々に改善されてきました。そしてついに、教室に待望の電気が点きました。子どもたちは歓声をあげて喜びました。
 私は、このときの喜びを単なる喜びだけに終わらせたくないと思い、朝の打合せで職員に「今こそ子どもたちに、これまでの生活の豊かさや当たり前のことが当たり前にできる幸せを話し、当たり前の生活に感謝する気持ちをもたせてほしい」と伝えました。
  すると、7月10日付けの下野新聞に、震災4か月の県内被災小中学校の状況を伝える記事が掲載され、本校の生徒が震災後の生活について「当たり前の生活のありがたさを感じる」と答えていたのです。この記事を読み、これこそ校長の仕事なんだと実感しました。
  つまり、校長の仕事は自分ではできないかわりに、職員を動かして子どもたちを変えていくことにある、ということをこのとき知ったのです。校長の意図することが職員に伝わり、職員が動いてはじめて学校経営ができるということを知りました。
 これはなんと言っても学校経営の最も大事な勘所です。校長が自ら行うことも大事ですが、それは限られています。「職員を動かして子供を変えること」これを知っていることで学校経営は大きく変わっていくと思います。

 勘所2  校長は職員への発信に神経を注がなければならない
 よく「校長は講話で勝負する」と言いますが、これは主に児童生徒や保護者向けの講話のことです。もちろんこれらは重要で、私も校長のときは毎回相当苦心しました。しかしそれ以上に、校長が重点を置き、神経を注がなければならないのは、実は職員への話なのです。なぜなら、その校長の言葉によって学校組織が動き、あらゆる教育活動が展開されるからです。そして、その教育活動によって子供が変わっていくのです。
 また、校長は職員へ話す機会も多く、それは児童生徒や保護者などの比ではありません。朝の打合せ、会議、研修等、必ず校長の一言が求められ、そこでの言葉次第で職員の意識も動きも違ってきます。
  さらに校長の言動は職員から評価されています。一人一人の職員が校長を信頼し、校長の考えに納得し、共感・共鳴して、一丸となって学校運営に当たれるかどうかは、校長の言葉次第ということになります。ですから、校長は職員への発信に最も神経を注がなければならないのです。

 勘所3  人は指示や命令では動かない
 部下職員は指示や命令では動きません。しかし、たとえ容易ではない指示や命令であっても、その背景となる状況や明確な根拠を伝えることにより、部下は屈辱感なしに受け入れるといいます。これを「状況の法則」といいます。
 校長としてむやみに無理難題を課すことは避けなければなりませんが、状況によっては負担になる仕事を依頼しなければならない場合があります。
 その実例として、隣町の旧水沼小での生活をあげました。生徒のバス送迎、職員は旧水沼小、中央公民館、市貝中と2重、3重の生活。職員の負担軽減を図り、バスの乗車指導は行っていませんでした。ところが、6月後半にバスでのトラブルが連続して発生、更には、不注意とはいえ旧水沼小のガラスを立て続けに割るなど生活全体に落ち着きがなくなってきました。私は、些細なことですが早めに対処しないと後々収拾がつかない事態になりかねないと判断し、職員がバスに乗車すること、他の職員はバスが到着時に全員で子供たちを迎えることを依頼しました。しかし、職員はこれまでの厳しい状況の中で疲れが溜まっていることも承知していました。
 そこで、これらを依頼する理由として「割れ窓の理論」を職員に示しました。割れ窓の理論とは、「窓が割れたまま放置しておくと建物全体が荒廃する。だから、初期段階で軽微な違法行為を徹底して取り締まれば凶悪犯罪も防ぐことができる。つまり、小さな犯罪を見逃すとやがて凶悪事件が横行する」という理論です。
 状況の法則に従い、指示・命令の根拠を割れ窓の理論で明示したことにより、職員には相当負担だったと思いますが、状況を理解し受け入れてくれました。
 校長として「人は指示や命令では動かない」ということを常に意識し、それ相当の根拠を示していくことは大切なことです。

 勘所4  学校経営の第1歩は距離感を縮めること
 一校目の市貝中はかつて8年間勤務したところですので、学校、保護者、地域を相当知っていました。ところが、2校目は初めて勤務する学校ですので、全く分かりません。
 そこで、私が心がけたことは、職員、保護者、地域の方々との距離感を縮めることで、これが学校経営の第1歩と考えます。特に職員との距離を縮めるためには、職員への直接のアプローチももちろん大切ですが、それ以上に、子供への働きかけ、学校の歴史、教育目標の解釈等、間接的なことが以外と効果がありますので、それらを紹介しました。
  距離感を縮めることは地道な取り組みですが、怠ると意外なところで亀裂を生じかねませんので、心得ておくとよいでしょう。

 勘所5  布石を打つ
 校長が替われば学校が変わると言われます。しかし、学校の雰囲気は1年目でも変わるかもしれませんが、教育活動そのものはそうはいきません。校長がどんなに素晴らしい構想をもっていたとしても、いきなりやりたいことができるかといったら、それは難しく、校長の思いを実現するには、その道筋を描き、必要な布石を打っていくことが大切です。
 それを中学校において教科の壁を越えた授業研究会を例に取り、次のような布石を打ったことを紹介しました。
 ① 校長室だよりによって、教科の壁を越えた授業研究会の必要性を訴える。
 ② 職員を総合教育センターと芳広教委の研修に派遣し授業研究を学ばせる。
 ③ 授業を見る一貫性のある視点(本時のねらいから見た手立ての有効性)を示す。
 ④ 校長自らが授業を行い、研修派遣の教員を中心とした授業研究会を行う。
 ①は即効性はありませんが、連続で少しずつ示すことによって浸透し、外堀を埋める効果があります。②は事を成し遂げるには校内だけで完結しませんから外部資源の活用が不可欠です。③はこの実践の本丸であって、これによって成否が分かれます。④は「隗より始めよ」で、校長は職員に強いるばかりでは事はうまくいきません。実際には1年で異動してしまったため、結果を見届けることは叶いませんでしたが、先を見通して布石を打つことは大切なことです。

 勘所6  校長と職員の危機意識は異なる
 校長と一般教員では意識がかなり違うと言えます。当然と言えば当然なのですが、それを意識して学校経営に当たれるかどうかで成否が分かれると思います。特に危機意識については、一般教員の方が遥かに低いということに注意しなければなりません。
  校長は常に全体的、多面的、複眼的に見ています。また、先を見てかなり悲観的に見ている場合が多いのです。そして、たとえ身近で起こっていなくても当事者意識をもって事態を見ています。しかしながら、一般職員はそこまではいきません。
  実際、生徒が「死にたい」と言ったとしても、担任は意外と軽く見ている感じを受けたことがあります。看過できないので、再度本人から詳しく事情を聞いたり、学級や部活動の交友関係も調べたりしたのですが、部活動での交友関係にも起因していたようで、いじめとも取れる言動もありました。こういった例をもとに、校長と職員との危機意識の違いを話しました。
 一般教員は自分とは同じではなく、危機意識は低いということを認識して事に当たることは、危機管理上極めて重要だと思います。

         

郡市校長会でこんなことを話しました。

6月4日(火)に郡市校長会がありましたが、冒頭の挨拶で、私の経験をもとに次のようなことを話しました。 

   校長は結論をもって臨む                                

 校長先生は常に判断を迫られ、日々緊張感があります。もちろん、教頭の考えを求めたり、職員の合意で結論付けたりすることもあるでしょう。時には難しい判断を強いられ、迷うことだってあるかもしれません。
 私が新任校長として市貝中に赴任して早々のことでした。東日本大震災で甚大な被害を受けた市貝中は、旧水沼小での生活を余儀なくすることになりました。そのため、市貝町中央公民館から大型バス7台で生徒を送迎することになり、4月13日から始まりました。しかし、これがそう簡単ではありませんでした。 
 生徒は朝7時50分に中央公民館集合としたのですが、最初に直面した問題は遅刻者への対応でした。職員からは、遅刻が分かるよう通学班を編成する、遅刻と分かれば職員が待って対応する、或いは、遅刻と分かった時の出発時刻をどこまで遅らせるか、等々侃々諤々の話し合いになりました。結局、この時の職員会議では決着が付かず、運営委員会に委ねることになりました。最終判断を下さなければならない校長としても難しい問題です。
 しかし、私は最初から結論は決まっていました。それは、バスは定刻通り7時50分に出発すること、遅刻者には、乗車指導の職員がその保護者に連絡、保護者が責任をもって対応すること、たとえ、仕事や車の免許がなく直接保護者が対応できなくても、タクシーを使うなど保護者自身に任せること、遅刻者については職員は一切かかわらないこと、と少々生徒と保護者にとっては厳しめのものでした。 
 それはなぜかと言いますと、旧水沼小での日課は、必要な授業時数を極力確保するため最大限考慮して作成したものですから、一人の遅刻者のためにそれを崩すわけにはいきません。また、遅刻者への対応で授業に支障を来すことがあってはいけません。それに、旧水沼小での生活は職員の負担増になっており、これ以上負担をかけるわけにはいきませんし、送迎の際の事故等も考えられます。そして、遅刻はなんといっても本人の責任ですので、その対応は基本的には保護者が当たるべきです。厳しいようですが、これらは、はっきりとさせておかなければならないと思ったからです。
    校長は結論をもって会議や話し合いに臨むべきと考えます。運営委員会でも、様々な意見が出され、私は、それらに真摯に耳を傾けました。聞くことは重要ですし、結論を修正することもできます。しかし、最後は、校長として先の結論を言いました。だからといって、職員会議や運営委員会での議論は無駄ではありません。むしろ、そういった議論は、職員の参画意識や資質能力の向上のためには不可欠です。校長は、答えをもっていて、敢えて質問することも必要でしょう。そのためにも、会議等には結論をもって臨むことが大切です。

                              

 

ICT元年 学校と市教委が一丸となって取り組みましょう!

 5月1日(水)に元号が令和に変わり、新しい令和の時代がスタートしました。ご承知のとおり、新しい元号「令和」は、万葉集「梅の花の歌」の序文「初春の令月にして、気淑(よ)く風和(やわら)ぎ、梅は鏡前の粉(こ)を披(ひら)き、蘭は珮後(はいご)の香を薫(かを)らす」からの引用です。安倍総理は会見で、「厳しい寒さの後に見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる日本でありたいという願いを込めた」と述べています。
 この言葉の「日本人」を「子供」に換えて、「一人一人の子供が明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる」ようにする営みは、学校教育に他なりません。なぜなら、このように換えると、この言葉は子供たちの自己実現のことであり、それは学校教育の目指すべき働きであるからです。これを教育基本法では、第5条第2項において「義務教育として行われる普通教育は、各個人の有する能力を伸ばしつつ社会において自立的に生きる基礎を培い」と謳っています。
 ですから、「令和」の元号に込められた願いを、私たち教育関係者は学校教育への期待と受け止め、これからの21世紀を生きる子供たちのために更なる教育の充実・発展に努めていかなければならないと思います。
 本市においてもその願いを実現すべく、今後一層進展することが予想されるグローバル化や情報化への対応を鑑み、「ふるさと真岡を愛し、世界で活躍する真岡っ子の育成」を目指し、様々な施策を展開しています。
 特に、昨年度から取り組んでいるICT教育においては、市内小中学校全ての普通教室、特別支援教室、理科室に65インチのモニター一体型電子黒板を完備しました。ICT導入モデル校の真岡東小と真岡西中はもちろんのこと、全ての学校でこれらの機器を活用した授業づくりに取り組んで頂いております。今年度はタブレットやデジタル教科書も順次配備し、ICT教育のための学習環境を整えていきます。
 こういった取組みを踏まえ、年頭所感では「授業改善ではなく授業改革」と称して、ICT機器を活用した授業づくりに本腰を入れて取り組みたい旨、お伝えしました。さらに本年度中には、教職員の事務処理の負担が軽減できるよう、統合型校務支援システムを全校配備することになっています。
 そこで本市においては、令和元年に因んで本年度を「ICT元年」と位置付け、ICTを積極的に活用した学校づくりに、学校と市教委が一丸となって取り組んでいきたいと思っております。各学校におきましても、「ICT元年」を合い言葉に積極的なICT機器の活用をお願いします。

教師は教えることのプロです!

 教師は教えることのプロです。これには誰もが異論はないでしょう。では、「プロの教師」とはどのような教師を言うのでしょうか。採用試験に合格し、赴任した学校で授業や学級担任等を受け持てばプロの教師となったことになるのでしょうか。もちろん否で、プロの教師となるにはそれ相当の条件が必要です。
  であれば、その条件とは何でしょうか。これについては諸説ありますが、少なくとも次の4つの条件はプロとして必須のものと考えます。
   まずは「専門性」です。当たり前のことですが、プロの教師は高い専門性を有していなければなりません。学習指導だけでなく学級経営や児童・生徒指導等の専門性も必要です。ところがこれらは、知識や技術だけでなく教師の肌感覚も要求されますので、容易に会得できるものではありません。相当の経験と研修が必要になります。教師は反省的実践家と言われるように、実践し省察し自己研修によって更に深めていく営みが求められるのです。
    次に「研究心」です。「研究なき実践は停滞する」と言われますように、研究し理論に裏付けられた実践でなければ、単なる独りよがりに過ぎず、成果は得られません。プロのスポーツ選手やプロの小説家など、世の中でプロと名の付く人たちを見れば分かるように、全てが旺盛な研究心に支えられています。教師にとっても当然それは欠かせません。
    そして「成果」です。これはプロにとって絶対的なものですが、残念ながら教師の意識は極めて低いと言えます。しかし今や、学力向上が県や市町の人口減少対策の一施策となるなど、教育が学校だけの閉じた世界で論じられる問題ではなくなってきています。それに相まって、現在は評価の時代とも言われ、成果主義が席巻している中では「成果」は避けて通れないのです。
    最後に「責任」です。結果について常に「責任」が問われるのがプロです。が、これについても教師の意識が低いと言わざるを得ず、一抹の不安を抱いています。教科担任であれ学級担任であれ、一人一人の子供を1年間責任をもって教え導かなければならないのですが、できているでしょうか。また、組織人としての責任も同様です。
    以上、私の考える「プロの教師」について述べましたが、「あらゆる教育論は教師論に行き着く」と言われるように、いつの時代でも教育の成否はその直接の担い手である教師に係っています。現在の芳賀地区は大量退職の時代にあり、経験年数の少ない教師が増えていますので、一人一人の教師の資質能力の向上がこれまで以上に求められています。だからこそ、誰もがプロ意識を持って取り組むことが大切であり、そのためには「専門性」「研究心」「成果」「責任」の4つの条件を具備することが重要と考えています。

 

異動は最大の研修である

 毎年、春の訪れと共に人事異動の季節を迎えます。教職員であれば異動は避けて通れないことではありますが、長年勤務し愛着のある職場を離れることは誰でも寂しいものです。また、異動先でうまくやれるかなどと、一抹の不安も付きまといます。
  私自身40歳半ばから、3年、2年、2年、2年、1年、3年、1年、そして現在と、小刻みな異動を転々と繰り返してきました。異動した先々では、当初電話一つ取ることができず、悪戦苦闘の連続でした。しかし、どの職場でもある一定期間を過ぎれば、それなりにその職場に馴染んで仕事も行うことが出来るようになっていました。これは皆さんも同じことだと思います。我々教職員はこうして一つ一つ仕事を身に付け、自分自身のキャリアを形成していくのです。
 それ故、「異動は最大の研修である」と言われています。新しい職場は元の職場と多かれ少なかれ勝手が違い仕事も異なりますから、自分自身の能力開発のチャンスになるというわけです。人事異動では、主に次のようなことが期待されています。
① 気分一新して新たな気持ちで仕事を行うことができる。
② 新しい業務に就くことによって、自分自身のキャリアを形成することができる。
③ 学校文化・風土の違いから、たとえベテランでも新たなことを学 ぶことができる。
 ずっと同じ職場では、どんなに気を付けていても慣れが生じたり、仕事に対する固定観念が生じたりして、自己向上の妨げとなる場合があります。そのため、異動は自分の能力開発のために与えられた絶好の機会と捉えることが大切です。今回異動になる教職員の皆さんには、「異動は最大の研修である」ということを肝に銘じて、4月から新し職場での一層の活躍を期待します。

交通事故は自ら注意しないと防げない

 立春が過ぎて、春の息吹が感じられる時節になって参りました。学校では年度末の卒業式や修了式を控え、1年間の学校運営の最終段階に入ります。そこでこれからの時期、特に注意しなければならないのは子供の事故です。
 消費者庁の調べによれば、公園や学校、商業施設などにある遊具での子供の事故は、三月から五月に増える傾向があるといいます。子供の事故は、暖かくなるこれからの時期に発生しやすくなる、ということを知っておかなければなりません。
 また、中学校では、進路が決定した3年生は緊張感から解放されます。1・2年生にあっては、部活動もこれといった大会等がなく目標が見えない時期であり、学年末テストが終わると、それ以上に緊張感がなくなると思われます。それに相まって春の陽気も手伝い、子供だけでなく大人も気が緩みがちになるのがこれからの時期です。ですから、たとえ自らの過失がなかったとしても思わぬ事故に遭う危険性があります。
 3年前に某市で発生した交通事故がまさにそれでした。その事故は、卒業式を1週間後に控えた3月1日の放課後に起きました。市内の中学3年生が信号機のある交差点を自転車で横断中、左折するタンクローリーに巻き込まれてしまいました。生徒は頭を強く打ち、間もなく死亡するという痛ましい事故となってしまいました。
 事故の原因は、ドライバーが横断中の生徒に気付かなかったことのようですが、この事故に限らず、横断中の歩行者等を巻き込む事故は幾つも発生しています。日常的に運転しているドライバーであれば、信号機のある交差点で右左折する際に、横断中の歩行者等に気付くのが遅れ、ハッとした経験は1度や2度はあることでしょう。ましてや、春が近付きつつあるこれから時期です。危険度は増してしかるべきです。
 交通事故は、いつ、どのような形で起こるか分かりません。たとえ交通ルールを守っていても事故に遭う危険性はあるのです。事故防止には、信号無視等の違反行為や飛び出し禁止だけでなく、このことも子供たちに十分認識させておく必要があります。
  特に、信号が青だからといって全く左右を確認せず横断する自転車を見かけますが、危険です。最近起きた生徒の自転車事故の中にも、青信号で横断中に車と接触している事故が散見します。もちろん、いずれも車側の過失なのですが、自転車側で左右確認していれば防げた事故でもあります。
 改めて、交通事故は自ら注意しなければ防げません。特に信号機のある交差点では正しく横断していても事故に遭う危険性がありますので、横断する際は信号が青になっても、もう一度左右確認する危機意識を子供たちに持たせてほしいと思います。

「授業改善」ではなく「授業改革」

 新年あけましておめでとうございます。平成31年がスタートしました。今年は亥年です。「亥」は十二支の中で最後の年です。偶然にも「平成」も最後となります。「終わりよければすべしよし」となるよう、先ずは元号が変わる5月までを有終の美で飾りたいものです。そして新元号の下、新たな時代の幕開けに相応しい飛躍の年にしたいと思っています。

2019干支

 そこで、今年はICT機器を活用した授業づくりに、本腰を入れて取り組んで行きたいと思います。
 本市では昨年末までに、市内小中学校全ての普通教室、特別支援教室、理科室に65インチのモニター一体型電子黒板を完備しました。今年から来年にかけてタブレットやデジタル教科書等も配備し、ICT教育のための学習環境を整えていきます。
 現在、真岡東小学校と真岡西中学校がICT導入モデル校として、これらの機器を活用した授業づくりに取り組んでおります。早速、昨年10月17日(水)には石坂市長をはじめ市教委で、12月13日(木)には市議会でモデル校を訪問し、授業を参観しました。どの授業もICT機器の活用が図られ、子供たちも意欲的で能動的な授業が展開されていました。
 中でも、私が見たグループ活動の授業では、タブレットと電子黒板が効果的に働いていました。その授業では、教師がワークシート等の電子データを各グループのタブレットに配信し、一斉に指示しました。グループでの話し合いでは、その内容をタブレットに整理すると、各グループの状況が電子黒板に映し出され一目瞭然となります。教師はそれを基に指導・助言していました。また、発表はタブレットと電子黒板を使って行っていました。発表者が追加の書き込みもできますし、教師が電子黒板に直接書き込みもできます。
 この授業を見たのは10月17日(水)です。タブレットや電子黒板を配備してから2か月も経ってないときの授業ですから、機器の機能のほんの一部を活用したに過ぎないでしょう。にもかかわらず、従来では考えられなかったような授業が展開できるのです。ICT機器には多種多様な機能が備わっています。活用次第で相当効果的な授業ができます。
  これは「授業改善」というよりは「授業改革」だと思います。「改善」はより良く改めることで、現状の延長線上で方法や手続きを変えることです。これに対して、「改革」は改め変化させることで、将来志向から考え方を変革することです。(日本能力協会「知恵ぶくろ・べからず集」より)
 昨年6月のICT機器導入の際には、これからの国の教育環境整備の動向を見据え、「デジタルが主でアナログは従」という発想の転換の必要性を強調しました。それはまさに「将来志向から考え方を変革すること」であって、授業づくりにおいては、「授業改善」ではなく「授業改革」を進めていかなければならないと考えております。